庭で低空飛行しているハチは、子供の遊ぶ場所ではとても怖いものです。
こうした多くのハチはツチバチといい巣を持たないハチです。
本記事では、ツチバチの意外な生態から、刺されるリスク、自分でできる対策、そしてプロに頼むべき判断基準までを紹介します。
不安で庭で子供を遊ばせられないという方の参考になれば幸いです。

ツチバチは、芝生や庭木の根を食い荒らすコガネムシの幼虫に卵を産み付けるため、農業や園芸の視点では益虫として扱われる側面があります。
しかし、一般家庭においては、集団で地面すれすれを旋回する独特の低空飛行が、住人に得体の知れない恐怖心や威圧感を与えるため、不快害虫として忌避されます。
特に、土の中に潜るために庭のいたるところに小さな穴を開け、芝生の外観を損ねる点は、手入れを欠かさない所有者にとって大きな悩みとなります。
また、基本的にはおとなしい性格ですが、素足で歩く子供やペットが誤って踏んでしまうと、身を守るために刺すことがあるため、生活空間を共有する上での物理的なリスクも無視できない特徴といえます。
ツチバチの巣はどこ?見つからないのが普通の理由

「庭にハチが何匹も飛んでいるから、どこかに大きな巣があるはずだ」と、生垣や軒下をくまなく探しも見つからないのがツチバチです。
ツチバチには、普通にイメージするような「目に見える大きな巣」が存在しないのです。
❶ ツチバチはスズメバチのような集団の巣をつくらない
ハチと聞くと、スズメバチやアシナガバチのように、一つの大きな巣に何百匹も集まって暮らす姿を想像するかもしれません。
しかし、ツチバチは「単独性」といって、1匹のメスが1人で行動するタイプのハチです。
集団で暮らすための巣を作る習慣がないため、木にぶら下がった巣や地面に大きな穴が開いた入り口などはどこにもありません。
❷ ツチバチは1匹ずつ独立した巣を土の中に作る
では、彼女たちはどこにいるのでしょうか?その名の通り、ツチバチの活動拠点は「土の中」です。
- 匹1穴のスタイル: メスは卵を産むために、土の中に小さな穴を掘って潜ります。
- コガネムシの幼虫がターゲット: 土の中にいるコガネムシの幼虫を見つけると、麻痺させてそこに卵を産み付けます。
- 「巣」というより「ゆりかご」: ツチバチにとっての土穴は、自分が住む場所ではなく、子供を育てるためだけの場所。用が済めばそのまま埋めてしまうことも多いため、外から見てもどこに穴があるのか判別するのはほぼ不可能です。
❸ なぜ庭の地面を旋回しているの?
「巣がないなら、なぜあんなに何匹も飛んでいるの?」と不思議に思いますよね。
地面スレスレを円を描くように低空飛行しているのは、主に以下の2つの理由があります。
- 獲物(幼虫)を探している: メスが土の中に潜むコガネムシの幼虫の気配を察知しようと、パトロールをしています。
- メスを探している: オスたちが、土の中から出てくるメスを見つけようと、地面の近くで待ち構えています。
つまり、庭を飛び回っているのは「巣を守るため」ではなく、単に「食事や繁殖のための日常活動」をしているだけなのです。
【危険性】ツチバチに刺されることはある?子供やペットへの影響

庭で黒いハチが何匹も飛び回っているのを見ると、「もし子供が刺されたら…」「散歩中のペットに襲いかかってきたら…」と不安になることがあるかと思います。
結論からお伝えすると、ツチバチの攻撃性は極めて低く「ハチの中でもトップクラスにおとなしい性格」です。
こちらから何もしない限り、向こうから襲ってくることはまずありません。
❶ ツチバチの攻撃性は極めて低い
ツチバチは極めて攻撃性が低いハチです。
スズメバチやアシナガバチは巣を守るために防衛本能が強く、近づくだけで威嚇・攻撃してくることがあります。
ツチバチにとって人間は「ただの大きな動く物体」であり、攻撃対象ではないのです。
そのため、ただ庭を歩いているだけで刺されるというリスクは非常に低いと言えます。
❷ おとなしいツチバチでも刺される可能性がある
おとなしいツチバチでも、全く刺さないわけではありません。以下のようなケースでは、身を守るために針を使うことがあります。
- うっかり手で掴んでしまった: ガーデニング中に草と一緒に掴んだり、子供が興味本位で捕まえようとした場合。
- 足で踏んづけてしまった: 芝生の上で素足で遊んでいるときに、地面付近にいた個体を踏んでしまった場合。
- ペットが鼻先で突っついた: 好奇心旺盛なワンちゃんや猫ちゃんが、ハチを追いかけ回して刺激してしまった場合。
❸ 万が一ツチバチに刺された時の症状と毒性
ツチバチの毒は、獲物(コガネムシの幼虫)を麻痺させるためのもので、人間に対する毒性は他のハチに比べて「弱い」とされています。
- 症状: 刺された瞬間にチクッとした痛みがあり、その後赤く腫れることがありますが、多くは数日で治まります。
- 注意点: 毒性が弱いとはいえ、ハチ毒アレルギー(アナフィラキシーショック)が絶対に起こらないわけではありません。
もし刺された後に「息苦しさ」「じんましん」「吐き気」などの症状が出た場合は、すぐに医療機関を受診してください。
❹ 子供やペットをツチバチから守るための3つの対策
「刺されるリスクは低い」と分かっていても、やはり心配です。安心して庭で過ごすために、以下の対策を心がけましょう。
- 素足で遊ばせない: 芝生や土の上を歩くときは、靴やサンダルを履かせるのが最も効果的です。
- ハチを刺激しないよう教える: お子様には「黒いハチさんがいても、静かに見守ろうね」と伝え、捕まえようとしないよう約束しましょう。
- ペットのリード管理: ハチが多く飛んでいる場所では、ペットが顔を突っ込まないよう注意してあげてください。
庭のツチバチを駆除・放置すべきかの判断基準

「おとなしいハチだと分かっても、やっぱり怖いものは怖い…」 「でも、わざわざお金を払ってまで駆除する必要があるのかな?」
そう悩まれる方は少なくありません。実はツチバチは、無理に駆除しなくても良いケースが多いのですが、生活環境によっては早めに対処したほうがいい場合もあります。
「放置」すべきか「駆除」すべきか、以下の基準でチェックしてください。
❶放置(様子見)でも大丈夫なケース
ツチバチは、実は庭の植物を守ってくれる「益虫(えきちゅう)」としての一面も持っています。
以下のような場合は、そのままにしておいても大きな問題はありません。
- 数が少なく、生活動線から離れている: 庭の隅の方で数匹飛んでいる程度なら、放っておけばそのうちいなくなります。
- ガーデニングの天敵「コガネムシ」を減らしたい: ツチバチは芝生を枯らすコガネムシの幼虫を食べてくれるため、庭木や芝生を大切にしている方にとっては心強い味方です。
- 一時的な飛来である: 繁殖期の数週間だけ現れることが多いため、その期間だけ少し距離を置けるのであれば、自然に姿を消すのを待つのも一つです。
❷駆除を検討すべきケース
一方で、以下のような状況であれば、ストレスを抱え続けるよりもプロの力を借りて解決することをおすすめします。
- 子供やペットの遊び場になっている: どんなにおとなしくても、子供がうっかり踏んでしまうリスクがある場所(砂場、芝生の中央など)に集まっている場合は、安全を最優先すべきです。
- 数があまりに多く、窓を開けるのも怖い: 数十匹単位で群生していると、家の中に入ってくるリスクも高まります。
「ハチが気になって洗濯物が干せない」「庭仕事が全くできない」といった精神的なストレスがあるなら、それは立派な駆除のタイミングです。 - 「本当にツチバチか」自信がない: 最も危険なのは、ツチバチだと思っていたのが実は凶暴なオオスズメバチ(地中に巣を作るタイプ)だったというケースです。
見分けがつかず不安な場合は、手遅れになる前に専門家の調査を受けるべきです。
❸迷った時の10秒判断
迷っている方は、以下の質問に1つでも「はい」があるなら、駆除を検討しましょう。
- ハチのせいで、庭に出るのを我慢していますか?
- 小さなお子様が、ハチのいる場所で裸足になったり手をついたりしますか?
- ハチの種類が分からず、毎日不安を感じていますか?
安心が脅かされているのであれば、我慢する必要はありません。
自分でできる!ツチバチの駆除方法と寄せ付けない対策

「業者を呼ぶ前に、まずは自分でなんとかしたい」という方に向けて、家庭でできる具体的な対策をご紹介します。
ツチバチは一般的なハチと異なり、木の上や軒下に巣を作るわけではないため、対策のポイントは「飛んでいる個体への対処」と「地面の環境改善」の2段階になります。
1. 飛んでいるハチへの対処法 直接駆除
庭を飛び回っているツチバチが数匹程度なら、市販の殺虫スプレーで対応可能です。
ハチ専用スプレーを使用する: ピレスロイド系成分を含むハチ専用の殺虫剤を選びましょう。数メートルの距離から強力噴射できるタイプが安心です。
- 狙い目は「着地した瞬間」: 低空飛行している最中は狙いが定まりにくいため、地面に降りたり、花に止まったりした瞬間を狙うのが効率的です。
- 防護服がなくても大丈夫?: ツチバチ相手なら、厚手の長袖・長ズボン、帽子、手袋を着用していれば十分ですが、絶対に素肌を露出させないようにしてください。
2. 土の中の個体を減らす土壌対策
目に見えるハチを倒しても、土の中から次々と新しいハチが出てくる場合は、土壌そのものに対策が必要です。
- 粒剤タイプの殺虫剤をまく: 庭の土や芝生に直接まく粒状の殺虫剤(スミチオンなど)を使用します。これにより、ツチバチの餌となる「コガネムシの幼虫」を駆除でき、結果としてツチバチが寄ってこない庭になります。
- 水をまいて追い出す: ツチバチは湿りすぎた土を嫌う傾向があります。一時的な対策ですが、ハチが飛んでいる場所にたっぷりと散水することで、その場から追い払えることがあります。
3. 来年以降も寄せ付けないための予防策
ツチバチが何度もやってくるのは、その庭が「卵を産むのに最適な場所」だと思われているからです。環境を変えて、ハチに選ばれない庭にしましょう。
- 芝生の手入れと除草: 雑草が生い茂り、土が柔らかい場所をツチバチは好みます。こまめに草を刈り、地面を露出させすぎない(または逆に踏み固める)ことで、ハチが潜りにくくなります。
- 防草シートを敷く: 特に被害がひどいエリアには、防草シートや砂利を敷いて物理的に土への侵入を防ぐのも有効な手段です。
⚠️ 注意!自力での駆除を控えるべきケース
以下の場合は、無理をせず作業を中断し、専門業者へ相談してください。
- スプレーをかけても逃げない・威嚇してくる: それはツチバチではなく、もっと攻撃性の高いハチの可能性があります。
- 地面から大量のハチが湧き出している: 土の中に巨大な群れ(コロニー)がある場合、素人の装備では対応しきれず、一斉に反撃を受けるリスクがあります。
- アレルギー体質の方: 過去にハチに刺されたことがある方や、重度のアレルギーをお持ちの方は、自分での駆除は絶対に避けてください。
失敗しない駆除業者の選び方

「自分でやるのはやっぱり怖い」「対策をしてもハチが減らない」という時には、プロの駆除業者に依頼しましょう。
しかし、ハチ駆除の世界には、残念ながら相場よりはるかに高い請求をしたり、ずさんな作業で済ませたりする悪質な業者が一部存在します。
特にツチバチのように「一般的なハチとは生態が違う」ケースでは、業者の知識量がそのまま作業の質に直結します。
あなたが安心して任せられる業者を見極めるために、「絶対に外せない3つのチェックポイント」を以下にまとめました。
❶ツチバチの生態を正しく説明してくれるか
ツチバチの生態を正しく説明できるというのは最も重要なポイントです。
問い合わせた際、あるいは現地調査の時に「ツチバチには大きな巣がないこと」を前提に話をしてくれるか確認してください。
もし、「どこかに巣があるはずだから、家じゅう探して壊しましょう」と不安を煽り、高額な「巣の撤去費用」を上乗せしてくる業者は要注意です。
正しい知識を持つ業者なら、「土壌の質を変えましょう」「飛んでいる個体を防除しましょう」といった、ツチバチに適した提案をしてくれるはずです。
❷ 現地調査と見積もりが「完全無料」か
ハチの被害状況は、庭の広さや周囲の環境によって千差万別です。
電話だけで「一律〇〇円です」と答える業者よりも、まずは現地を見て、正確な見積書を提示してくれる業者を選んでください。
- 追加料金が発生しないことを明記しているか
- 作業内容(薬剤の種類や散水範囲など)を丁寧に説明してくれるか
この2点が見積もり段階でクリアになれば、後からのトラブルを防げます。
❸アフターフォロー(再発保証)が充実しているか
ツチバチは、一度その場所を「卵を産むのに最適だ」と学習すると、翌年も同じ場所に現れることがあります。
「駆除して終わり」ではなく、「もし1週間以内にまた大量に発生したら無料で対応します」といった再発保証がある業者を選んでください。
保証があるということは、それだけ自社の施工技術に自信があるという証拠でもあります。
❹気になる費用相場の目安
ツチバチの駆除費用は、一般的に8,000円〜15,000円程度が相場です(※範囲や薬剤の量によって変動します)。
スズメバチのような危険な高所作業がない分、比較的安価に収まることが多いです。
あまりに安すぎる(数千円など)業者は、後から「出張料」や「特殊薬剤費」を上乗せされるケースがあるため、合計金額で比較するようにしましょう。
害虫駆除のおすすめ業者に関しては「害虫駆除の優良業者おすすめ9選!料金相場と失敗しない選び方」の記事で紹介していますので、よろしければご確認ください。

よくある質問(FAQ)
こちらでハチの駆除に関する情報を発信しています。是非、こちらの記事もご覧ください。







