スズメバチの巣を発見した場合、これは一大事です。
刺されてしまうと命にかかわるため早急な駆除が必要となります。
こちらの記事では、スズメバチの巣を見つけた際の駆除方法、業者に任せる場合の業者の選び方、刺された際の応急処置方法を紹介します。
スズメバチの巣を見つけてしまった方の参考になれば幸いです。

スズメバチの巣は、その構造と作られる場所が人にとって重大な危険を引き起こす要因です。
初期の巣はトックリを逆さにしたような形状をしていますが、働き蜂が増える夏以降は球形や楕円形に巨大化し、種類によっては特徴的なマーブル模様を呈します。
この巣が、軒下、天井裏、ベランダの隅、樹木の洞、さらには地中といった人間の生活圏の近くに作られることが多いため、知らずに接近し、ハチを刺激してしまう事故が後を絶ちません。
巣が大きくなるにつれて内部のハチの数も劇的に増加し、巣を守ろうとする防衛本能と攻撃性も最高潮に達します。
そのため、巣の形状や場所に関わらず、その存在自体が命に関わる脅威であり、発見したらすぐに静かに離れ、専門の業者に駆除を依頼することが絶対的に必要です。
【この記事で参考にした文献】
なぜ危険?スズメバチの巣の発見時に絶対にやってはいけないこと
スズメバチは、巣を守るためなら命がけで攻撃してくる、極めて攻撃性の高い生き物です。
焦って不適切な行動をとることで、逆にハチを刺激し刺されると命の危険にさらされてしまいます。
ここでは、巣を発見した時に絶対に避けるべきNG行動を3つ解説します。
❶ 巣に近づいて写真を撮る・触る
「どんな巣か確認したい」「誰かに見せて相談したい」という気持ちから、巣に近づくのは最も危険な行為の1つです。
スズメバチは、巣から10m程度の範囲を「警戒エリア」として認識しています。
このエリアに近づいたり巣そのものに触れたりすると、警戒心の強い見張り役のハチが異変を察知し、毒液を噴射して仲間を呼び集め始めます。
- 危険な理由: 巣に近づく行為は、ハチにとって「攻撃の意図がある」と受け取られ、集団による激しい反撃を招きます。最悪の場合、アナフィラキシーショックにより命に関わる事態に発展する可能性があります。
- 取るべき行動: 巣を発見したら、静かにゆっくりと後ずさりし、巣から10m以上離れてください。
❷ 市販の殺虫スプレーで安易に刺激する
目の前のハチをすぐに駆除したいという気持ちから、手近にある市販の殺虫スプレーや殺虫剤を噴射するのも非常に危険な行為です。
多くの市販殺虫スプレーはスズメバチの頑丈な体表や、巣の中にいる多数のハチに対しては効果がありません。
- 危険な理由: 殺虫剤が効かずに、逆にスズメバチを激しく怒らせてしまいます。怒ったハチは一斉に巣から飛び出し、攻撃の対象となった人間に集団で襲いかかってきます。専門家でもない限り、プロテクターなしでこの集団攻撃から逃げ切るのは困難です。
- 取るべき行動: スプレーは使わず、絶対に刺激を与えないことが第一です。窓や戸を閉め、ハチが屋内に入ってこないよう安全な場所に避難してください。
❸ 巣を揺らしたり、大きな音を立てたりする
スズメバチは、振動や大きな音に対して非常に敏感です。
巣の周りで大きな物音を立てたり・巣がある壁を叩いたり・巣を突いたりといった行為は、ハチにとって「巣を破壊する敵」と認識されます。
- 危険な理由: 振動や音は、巣の中のハチを興奮させ、防衛本能を最大限に引き出します。特に、屋根裏や壁の中など閉鎖空間に巣がある場合、ハチがパニックを起こして出口を探し、予想外の場所(室内の隙間など)から出てきてしまうリスクもあります。
- 取るべき行動: 巣の近くでは、静粛を保ち、振動を与えないよう細心の注意を払ってください。特に、巣のある周辺での草刈りや日曜大工などの作業は、駆除が完了するまで中断しましょう。
自分で駆除できる?業者に依頼すべきかの判断基準
スズメバチの巣を発見した後、「どうにか自分で解決できないか?」と考えるのは、費用や時間への不安があるからでしょう。しかし、スズメバチの駆除は専門知識と防護装備が必要な、命に関わる作業です。
ここでは、「業者に依頼すべき危険な状態」なのか、「限定的に自分で対処できるかもしれない状態」なのかを判断するための基準を紹介します。
❶ 自分でやる?業者に依頼かの判断基準
基本的には、スズメバチの巣は種類や時期に関わらず、プロの業者に依頼することを強くおすすめします。
特に以下の3つの判断基準に当てはまる場合は、自己判断をせず専門業者へ連絡してください。
| 判断基準 | 自分でやる (限定的な条件のみ) | 業者に依頼する (強く推奨) |
|---|---|---|
| ① 巣の大きさ | 5cm以下(ピンポン玉程度のごく初期) | 10cm以上(ソフトボール大以上) |
| ② 巣の場所 | 比較的低い場所で、作業スペースが確保できる軒下など | 高所(2階の軒下、屋根裏、床下、壁の中、土の中) |
| ③ 時期と種類 | 5月〜6月上旬(女王蜂一匹で活動する初期の巣で、アシナガバチなど比較的毒性の低い種類) | 7月以降(働き蜂が羽化し、巣が急速に巨大化するスズメバチの巣) |
アシナガバチと異なり、スズメバチは非常に獰猛で攻撃的です。例え初期の小さな巣であっても、女王蜂一匹で猛烈に反撃してきます。
スズメバチの巣は、働き蜂が羽化する7月頃から急速に成長します。初期の小さな巣でも、判断を誤って刺激してしまうと、数週間後には手の施しようがない巨大な巣になっている可能性があります。
ご自身やご家族の命の安全、そして確実な駆除と再発防止を考えれば、やはりプロに任せるのが最善の選択と言えます。
❷ 巣の場所別:特に危険なケース
駆除の難易度と危険度は、巣がどこにあるかで大きく変わります。
| 巣の場所 | 難易度と危険度 | 業者依頼の必要性 |
|---|---|---|
| 屋根裏・床下 | 極めて危険。駆除作業が難しく、ハチが屋内へ侵入するリスクが高い。 | 必須 |
| 生け垣・土の中 | 非常に危険。巣全体が見えないため、駆除し残しやすく、ハチの逆襲を受けやすい | 必須 |
| 壁の隙間・通気口 | 危険。巣の大きさが分からず、壁を壊すなどの専門作業が必要になる場合がある。 | 推奨 |
| 軒下・ベランダ | 比較的作業はしやすいが、高所であれば危険。ハチが活発な場合はプロへ。 | 推奨 |
特に、土の中や壁の隙間に巣がある場合、一見小さな穴しか見えなくても、内部で巨大な巣が形成されていることが多々あります。このような巣は、素人が刺激を与えると、一斉にハチが飛び出してきます。
❸ 自分で駆除を検討する際の絶対条件
自分でやる(限定的な条件のみ)の場合でも、以下の絶対条件がクリアできない場合は自分では駆除せず、直ちに業者への依頼に切り替えてください。
- 種類が確実にスズメバチではないと判断できる。
- 時期が初期(5月〜6月上旬)である。
- 巣の周りに働き蜂の往来がないことを確認できている。
- 防護服・長靴・手袋など、プロに近い完全な防護装備を持っている。
これらの条件を満たさない場合は、迷わず専門の駆除業者に連絡してください。
スズメバチの巣の駆除にかかる費用相場と料金が高くなる要因
スズメバチの駆除をプロに依頼する際、最も気になるのが「いくらかかるのか?」という費用面でしょう。命に関わる問題とはいえ、高額請求は避けたいものです。
駆除費用は、ハチの種類、巣の大きさ、場所によって大きく変動しますが、事前に相場を知っておけば、不当に高い業者を避けることができます。
❶ スズメバチ駆除の基本料金相場
スズメバチの駆除費用は、アシナガバチやミツバチに比べて危険度が高いため、専門的な防護服や高所の作業が必要となり、相場は高くなります。
| ハチの種類 | 基本料金相場(1つの巣あたり) | 特徴 |
|---|---|---|
| スズメバチ | 20,000円〜50,000円 | 駆除の危険度、難易度が最も高い。 |
| アシナガバチ | 10,000円〜20,000円 | 比較的おとなしいが、刺される危険はある。 |
| ミツバチ | 10,000円〜30,000円 | 種類により、巣の撤去費用が高くなることがある。 |
この基本料金は標準的な大きさの巣を、作業しやすい場所に発見した場合の目安です。
❷ 料金が相場よりも高くなる主な要因
業者が見積もりを出す際、基本料金に加えて、以下の要因で追加料金が発生することが一般的です。これらの要因を事前に知っておくことで、トラブルを避けられます。
① 巣の場所・作業の難易度
巣が特殊な場所にある場合、駆除作業の危険度が上がり特殊な機材や手間が必要になるため追加費用が発生します。
- 高所作業: 2階以上の軒下や屋根裏など、梯子や高所作業車が必要な場合。
- 閉鎖された空間: 壁の中、床下、樹木の内部など、巣の撤去のために壁や天井の一部を破壊して復旧(軽度の修繕)が必要な場合。
- 土の中: 地中に巣がある場合、掘り起こし作業に時間と労力がかかる場合。
② 巣の大きさ・個数
巣が大きくなるほどハチの数が増えるため、作業の危険度と手間が増します。
- 巣のサイズ: ソフトボール大(約15cmを超える大きな巣は、追加料金の対象となることが多いです。
- 巣の個数: 同じ敷地内に複数の巣がある場合は、巣の数だけ料金が加算されます。
③ 駆除時期と時間帯
スズメバチの活動が活発な時期や、業者の対応時間外の作業には割増料金がかかります。
- 最盛期(7月〜9月): 駆除依頼が集中する時期や、ハチの攻撃性が増すため、料金が高めに設定されることがあります。
- 夜間・深夜・早朝: ハチが巣に戻っている夜間に駆除することが多いですが、緊急の夜間作業は割増料金(約25%〜50%)となることがほとんどです。
❸ 【予算を抑える】自治体の補助金・助成金制度をチェック
費用の負担を少しでも軽減するために、お住まいの自治体(市区町村)がハチの巣駆除に対する助成金や補助金制度を設けていないか、事前に確認してみましょう。
- 制度の例: 駆除費用の一部(例:費用の1/2や上限5,000円など)を補助してくれる制度が運用されている場合があります。
- 注意点: 助成金は「スズメバチのみ」が対象であったり、「事前に申請が必要」など、自治体ごとに条件が異なります。必ず依頼する前に役所の担当窓口に確認してください。
安心・安全のためにプロに依頼する決断は賢明です。複数の業者から詳細な見積もりを取り、料金の内訳をしっかり確認することが、失敗しない第一歩です。
失敗しない!信頼できるスズメバチ駆除業者の選び方
スズメバチの駆除業者選びで最も避けたいのは、「高額請求」と「駆除後の再発」です。
緊急事態で焦っている時ほど、冷静に業者を選ぶことが重要です。ご自身とご家族の安全を託すため、ここでは信頼できる優良業者を見抜くためのチェックポイントを解説します。
❶ 信頼できる業者のチェックポイント5選
① 駆除実績と専門性の高さ
スズメバチの駆除には、高度な知識と経験が必要です。「害虫駆除」を幅広く請け負う業者の中でも、特にスズメバチの駆除実績が豊富な業者を選びましょう。
② 料金体系の明確さと見積もりの透明性
悪質な業者は、作業後に高額な追加費用を請求してくることがあります。費用に関するトラブルを避けるために、料金体系が明瞭な業者を選びましょう。
③ 対応のスピードと受付体制
スズメバチの巣は一刻も早く取り除きたいものです。対応が早い業者は、それだけ体制が整っている証拠でもあります。
④ 保証・アフターフォローの有無
駆除後に再び巣が作られてしまう「再発」は、駆除業者選びの大きな失敗の1つです。駆除の確実性を担保する保証制度があるかを確認しましょう。
⑤ 地域の評判・口コミ
実際にその業者を利用した人の声は、業者選びの確かな情報源です。
❷ 悪質業者に騙されないための注意点
緊急性が高いスズメバチ駆除だからこそ、冷静さを欠いて悪質業者に引っかからないよう注意が必要です。
- 電話一本で即決しない: 必ず複数の業者(2~3社)から見積もりを取り、サービス内容と料金を比較検討してください。
- 契約を急がせる業者に注意: 「今すぐ契約しないと危険だ」「特別価格は今日まで」などと契約を強く急かせる業者は要注意です。一度冷静になって判断しましょう。
- 作業後の高額請求を防ぐ: 見積もり書に記載された金額と、作業後に提示された請求額が一致しているか、その場で必ず確認してから支払いを行ってください。
スズメバチの巣の問題は、プロに任せれば必ず解決できます。焦らず、これらのチェックポイントを参考に、ご自身とご家族にとって最も安心できる優良な業者を選びましょう。
害虫駆除のおすすめ業者に関しては「害虫駆除の優良業者おすすめ9選!料金相場と失敗しない選び方」の記事で紹介していますので、よろしければご確認ください。

応急的な安全対策と刺された時の初期対応
信頼できる駆除業者に依頼の電話を済ませても、業者が到着するまでには時間がかかります。この待機している間こそ、スズメバチとの接触を避け、最大限の安全を確保することが重要です。
ここでは、業者の方が来るまでの間に、ご自身とご家族の身を守るためにできる応急的な安全対策と、万が一刺されてしまった場合の初期対応を解説します。
❶ 巣が生活圏にある場合の応急的な安全対策
駆除業者が到着するまで、スズメバチの刺激を避け、活動範囲を制限するための措置をとりましょう。
① 巣から離れてハチの活動を監視する
- 距離の確保: 巣がある場所から最低でも10m以上離れた安全な場所に避難してください。
- 静かに見守る: 巣の状況を気にするあまり、窓を開けたり、巣の近くでウロウロしたりするのは厳禁です。静かに家の中から監視する程度にとどめましょう。
② ハチを家に招き入れない対策
- 窓や戸を閉める: 巣が屋外にある場合、家の中への侵入を防ぐため、巣に面している窓や網戸、扉はすべて閉め切ってください。
- 洗濯物を避難させる: 軒下やベランダに巣がある場合、ハチが洗濯物に紛れ込んでいる可能性があります。駆除が完了するまでは、外に干すのは避け、屋内に取り込む際もハチがついていないか確認してください。
③ ハチを刺激するものを遠ざける
スズメバチは、香りの強いものや黒いものに興奮して攻撃することが知られています。
- 香料を避ける: 香水、ヘアスプレー、柔軟剤などの強い香りはハチを惹きつけます。駆除作業が終わるまでは、使用を控えるか、においの少ないものを使用しましょう。
- 服装の注意: 外に出る必要がある場合は、黒っぽい服(髪や瞳の色を含む)は避け、白っぽい服や薄い色の服を着用するようにしてください。
❷ 刺されてしまった場合の初期対応
万が一、ご自身やご家族がスズメバチに刺されてしまった場合、冷静に、一刻も早く以下の初期対応を行ってください。
その場に留まると、ハチの毒液の匂いに誘われて他のハチが集まってくる可能性があります。すぐにその場を20m以上離れて、安全な建物の中に避難しましょう。
- 針の除去: スズメバチはミツバチと異なり、針を残しませんが、もし刺された箇所に針が残っていたら、指でつままず、毛抜きやカードの角などで払い落とすようにして取り除きます。
- 毒の排出: 傷口を指で強くつまみ、毒液を絞り出します。その後、大量の流水で傷口をよく洗い流してください。
- 冷却: 患部を氷や冷たいタオルで冷やし、痛みや腫れを和らげます。
- 病院へ: 刺されたのが2回目以上の場合や、全身症状(めまい、吐き気、息苦しさ、じんましんなど)がある場合は、アナフィラキシーショックの危険性があるため、すぐに救急車を呼ぶか、医療機関を受診してください。その際、「スズメバチに刺された」ことを必ず伝えてください。
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