ネズミの被害に悩まされている方にとって、「ネズミ駆除」という言葉を検索するたびに、高額な専用グッズや業者への依頼といった、ハードルの高い選択肢ばかりが目につくかもしれません。
そんな中、「正露丸でネズミが逃げる」という情報は、「ぜひ、ウチでも試してみたい」と思ってしまいますよね。
こちらの記事では、正露丸がネズミに及ぼす効果と、使用方法など注意点を紹介します。
お家にネズミと正露丸が揃っている方の参考になれば幸いです。
なぜネズミ対策に「正露丸」が話題になるのか?その効果の真偽

では、なぜあの有名な胃腸薬である正露丸が、ネズミ対策の話題に上るのでしょうか? そして、その効果は本当にあるのでしょうか?
❶ 正露丸がネズミ対策に期待される理由
正露丸がネズミ対策として注目される最大の理由は、その強烈で独特な匂いにあります。
正露丸の主成分は「木クレオソート」です。この成分が発する刺激臭は、人間にとっては「古くから馴染みのある薬の匂い」ですが、嗅覚が非常に鋭敏なネズミにとっては、耐え難いほどの刺激となります。
ネズミは、視力に頼るよりも優れた嗅覚で環境を把握し、危険を察知して行動します。
そのため、ネズミが嫌悪するような強い匂いを置くことで、「この場所は危険だ」「居心地が悪い」と感じさせ、一時的に遠ざけることができるのではないか、という発想から正露丸の利用が広まったと考えられます。
つまり、ネズミの「忌避(嫌がって避ける)効果」を、手軽な身近なものに期待した結果、正露丸が話題になったのです。
❷ 正露丸のネズミへの実際の効果【結論:一時的な忌避のみ】
切実な状況の中で「正露丸はネズミに本当に効くのか」という疑問は最も重要です。結論からお伝えすると、
期待できる効果はあくまで「一時的な忌避(追い払い)」に留まります。
ネズミは匂いに対して敏感ですが、同時に環境への適応能力も非常に高い生き物です。強い匂いを一時的に嫌がって寄り付かなくなることはあっても、時間が経つにつれてその匂いに慣れて(馴化して)しまいます。
ネズミの被害が深刻な場合は、すでに巣を作って生活拠点としている可能性が高いです。その場合、一時的に追い出しても、食料や安全な巣を求めて必ず戻ってきてしまうのです。
そのため、正露丸はネズミを部屋から追い出す「決定的な手段」や「根本的な駆除薬」とはなり得ません。
そのため、正露丸は「今すぐ何とかしたい時の、ごく一時的な緊急対策」としてのみ利用できます。
【重要】子供やペットがいる家庭が正露丸を試す場合の3つの注意点

ネズミ対策として正露丸を検討されている方の多くは、「毒性の強い殺鼠剤や粘着シートは使いたくない」という、ご家族の安全を最優先する強い思いをお持ちだと思います。
その点で、正露丸は確かに化学的な殺鼠剤よりも安心感があります。しかし、ご自宅に小さなお子様やペットがいる場合、正露丸を使う際にも特別な配慮と対策が必要です。
ここでは、正露丸を試す前に、必ず確認していただきたい3つの重要な注意点を紹介します。
注意点①:誤飲・誤食のリスク
正露丸は医薬品ですので誤飲や誤食には注意しましょう。大量に摂取すると子供やペットにとって健康被害を引き起こす可能性があります。
ネズミの通り道や被害箇所(床下、天井裏、壁際など)に正露丸をむき出しの状態で置いた場合、ハイハイをする赤ちゃんや、好奇心旺盛なペットが誤って触れたり、口にしてしまうリスクがさらに高まります。
- 正露丸をそのまま置くのではなく、手の届かない場所を選ぶか、フタ付きの小さな容器や通気性のある袋に入れて設置してください。
- 設置場所は、ネズミに触れさせたい場所であると同時に、人やペットが絶対に近づかない場所を選ぶことが重要です。
注意点②:匂いによる居住者への影響
正露丸の刺激臭は、ネズミを遠ざける効果が期待できる反面、その匂いは家の中に滞留し居住者にとっても不快感を与える可能性があります。
特に嗅覚が鋭い方や匂いに敏感なお子様がいる場合、正露丸の匂いが原因で気分が悪くなったり、頭痛を引き起こしたりする事例も考えられます。また、ペットも人間とは異なる強いストレスを感じるかもしれません。
- 人が普段生活する居室の真ん中での使用は避けるようにしてください。
- 設置場所は、天井裏、床下収納の奥、侵入経路が集中している場所など、居住空間から隔離された場所に限定しましょう。
- 使用中は、こまめな換気を心がけてください。
注意点③:賃貸物件での建材へのシミ・変色
特に賃貸のアパートやマンションにお住まいの場合は、正露丸の使用方法によって退去時に原状回復費用を請求されるリスクがあります。
正露丸は茶色い成分を含んでおり、特に液状のものを床材や壁材に直接置いたり、長時間接触させたりすると、取れないシミや変色を引き起こす可能性があります。
- 必ずアルミホイル、ガラス製の小皿、ビニール袋など、匂いを通し、液体を染み込ませないものの上に乗せて使用してください。
- もしシミができてしまった場合、かえってネズミ駆除業者に頼む以上のコストがかかってしまう可能性があることを念頭に置いてください。
家族の安全と建物の状況を最優先し、リスクを避けた上で正露丸を使用してください。
正露丸を「一時しのぎ」で使う場合の正しい使い方と設置場所

ここでは、正露丸の持つ忌避効果を最大限に引き出しつつ、リスクを最小限に抑える方法をご紹介します。
❶ 効果を高める使い方(置き方・量)
正露丸を一時的な対策として使う際のポイントは、「いかに匂いを強く、広く、持続的に発散させるか」にあります。
- カプセルや錠剤を砕く:
- 正露丸はそのまま置いても匂いは発しますが、カッターなどで細かく砕くと、表面積が増えてより強く匂いが揮発し、忌避効果が高まります。
- アルミホイルや小皿に乗せる:
- 前述の通り、建材へのシミを防ぐため、必ずアルミホイルやガラスの小皿、プラスチック製の容器に乗せて使用してください。
- 砕いたものをアルミホイルに乗せて、少しだけ端を立ち上げると、匂いが拡散しやすくなります。
- 使用量の目安:
- 一つの設置場所につき、数錠(3〜5錠程度)を目安に設置し、様子を見ながら増減させてください。大量に置きすぎると、人間にとっても刺激が強くなりすぎるため注意が必要です。
❷ 効果が持続しない場合の次の判断基準
正露丸による忌避効果は、残念ながら長続きしないことがほとんどです。ネズミが匂いに慣れる(馴化)ことで、すぐに効果が薄れてしまいます。
【効果が持続しない場合の判断基準】
正露丸を設置してから、以下のいずれかの状況になった場合は、正露丸の効果は限界を迎えたと判断し、次のステップに進みましょう。
| 状況 | 期間の目安 | 判断 |
| 設置場所の近くで再びネズミの足音や気配を感じた | 設置後3日〜1週間程度 | ネズミが匂いに慣れてしまった可能性が高いです。 |
|---|---|---|
| 正露丸をかじったような跡が見られる | – | 匂いへの忌避行動よりも、好奇心や縄張り意識が勝った状態です。 |
| 糞や新しいかじり跡が増えた | 設置後1週間以上 | 対策効果が全く出ていない、または被害が進行しています。 |
正露丸に固執せず被害が広がる前に、上記のような状況になったらすぐに「侵入経路の特定」や「確実性の高い対策グッズの導入」といった根本解決へ行動を切り替えましょう。
ネズミの根本解決に不可欠な3つの確実なステップ

「正露丸」による対策は、あくまでもネズミに一時的な不快感を与える「応急処置」にすぎません。
ネズミの被害を根本的に解決するには、ネズミの生態に基づいた対策をすることが必要です。
侵入経路を特定し塞ぐ(再発防止の要)
ネズミ対策の成功は、このステップにかかっていると言っても過言ではありません。家にいるネズミをすべて追い出したり、駆除したりしても、侵入口が残っていればすぐに外部から新しいネズミが侵入してきてしまいます。
- ネズミの侵入能力:
- ネズミは体が柔軟なため、わずか1.5cm程度の隙間があれば簡単に侵入できます。これは、大人の親指が入るかどうかといった、見落としがちな小さな隙間です。
- 主な侵入経路:
- エアコンの配管の隙間、換気扇の隙間、古い家の基礎のひび割れ、戸袋の隙間、床下の通風口などです。
- 対策:
- ネズミのフンや通り道を示す油汚れ(ラットサイン)を探し、侵入経路を特定します。
- 見つけた穴や隙間は、ネズミがかじれないように金属製のタワシ(スチールウール)や金網、またはパテなどを使って徹底的に塞いでください。
環境整備の徹底(エサ・巣材の除去)
ネズミがその家に住み着く最大の理由は、「居心地が良い(エサと巣材が豊富で安全)」と感じるからです。侵入口を塞ぐ対策と同時に、ネズミにとって魅力のない環境を作ることが重要です。
- 食料源の排除:
- 米、小麦粉、ペットフード、調味料などは、蓋つきの密閉容器に入れて保管してください。ネズミはビニール袋や薄いプラスチック程度なら簡単に噛み破ります。
- 生ゴミはフタ付きのゴミ箱に入れ、夜間は特に注意して管理しましょう。
- 巣材の除去:
- ネズミは、新聞紙、布、ダンボール、ビニールなどを集めて巣を作ります。不要なダンボールや古着を放置せず、整理整頓を徹底してください。
確実性の高い対策グッズの選択
一時しのぎの忌避剤ではなく、ご自宅の状況に合わせて、確実にネズミの数を減らすための対策グッズを導入します。
| 対策グッズ | 特徴と注意点 | どんな家庭におすすめか |
| 粘着シート | ネズミの捕獲率が高い。ただし、設置場所を間違うと効果が薄い。捕獲後の処理が必要。 | 設置場所に子供やペットが近づかない環境の家庭。 |
|---|---|---|
| 捕獲器(カゴ) | 生きたまま捕獲できるため、処理方法に配慮が必要。 | 殺鼠剤を使いたくない、捕獲後の処理に抵抗がない家庭。 |
| 殺鼠剤(毒エサ) | ネズミを確実に駆除する。ただし、子供やペットによる誤食リスクが最も高い。 | 人目につかない天井裏や床下など、隔離された場所でのみ使用できる家庭。 |
環境(ペットや子供の有無)とネズミ被害の規模を考慮し、最も安全で効果の高い手段を選びましょう。
【最後の砦】こんな場合はプロの業者への相談を検討すべき

ネズミの不安から一刻も早く解放されたいという強い願いは理解できます。ご自身で正露丸やその他の対策グッズを試された後、「もうこれ以上、自分ではどうにもならない」と感じたら、それは「プロの出番」です。
大規模な業者への依頼を躊躇されている方も多いかと思いますが、以下の状況に当てはまる場合は、時間と費用を無駄にせず、専門知識を持つプロの業者に相談することが、安心できる日常への最も確実な近道となります。
❶ 業者に頼むべき判断基準
ご自身の安全や、建物の構造に関わる以下の状況になった場合、プロの助けを借りることを強くおすすめします。
- 侵入経路の特定・封鎖が難しい場合(特に賃貸や集合住宅)
- ネズミは壁の内部や配管の複雑な隙間など、素人には発見・封鎖が難しい場所から侵入しています。賃貸や集合住宅の場合、建物の構造に関わる穴埋めを勝手に行うことができません。
- プロは専用の機材と知識で隠れた侵入口を見つけ出し、建物の構造を理解した上で適切な方法で封鎖します。
- 対策をしてもネズミの気配が消えない、被害が拡大している場合
- 粘着シートや捕獲器を設置しても成果が出ない、またはネズミの足音やフンが減るどころか増え続けている場合、すでに多くのネズミが定着し、繁殖を繰り返している深刻な状況である可能性が高いです。
- 繁殖サイクルに入ったネズミを個人で駆除するのは非常に困難です。
- 子供やペットへの安全性を最優先したい場合
- 毒エサ(殺鼠剤)は非常に効果的ですが、誤食の危険性が伴います。プロに依頼すれば、子供やペットが絶対に触れない天井裏や壁の内部に安全に薬剤を設置・処理してもらえます。
- また、ネズミの死骸が壁内などで腐敗し、二次的な衛生被害が発生するリスクも防ぐことができます。
❷ 失敗しない駆除業者の選び方(比較ポイントの提示)
プロに頼むと決めたら、費用や効果で失敗しないために、複数の業者を比較検討しましょう。
| 比較ポイント | なぜ重要か |
| 見積もりの詳細と明確さ | 「駆除費用」「清掃費用」「侵入経路封鎖費用」が明確に分かれているか確認しましょう。追加料金が発生しないことを事前に約束してくれる業者が理想です。 |
|---|---|
| 保証期間の有無 | 駆除後にネズミが再発した場合、無償で再度対応してくれる期間(例:1年間など)があるかを確認してください。再発リスクを考えると、保証は必須です。 |
| 実績と地域密着性 | 自身の住んでいる地域(一軒家かマンションか)での駆除実績が豊富かを確認しましょう。地域特有のネズミの種類や侵入経路に詳しい業者が安心です。 |
複数の業者から見積もりを取りサービス内容や保証体制を比較することが、よい駆除業者を見つけるためにとても重要です。
害獣駆除のおすすめ業者に関しては「害獣駆除おすすめ業者10選!料金相場と選び方も紹介!」の記事で紹介していますので、よろしければご確認ください。

こちらでネズミ駆除に関する情報を発信しています。是非、こちらの記事もご覧ください。








