自宅や敷地内にミツバチの巣を見つけたとき、「刺されたら怖いけれど、ミツバチは益虫だから駆除するのは忍びない」と悩む方は少なくありません。
実際、ミツバチの巣は駆除しても良いのでしょうか。駆除できるハチの巣とそうでないハチの巣の見分け方や駆除の仕方などを紹介していきます。
ハチの巣でお悩みの方の参考になれば幸いです。
【この記事で参考にした文献】
そもそもミツバチの巣は駆除した方がよい?
ミツバチの巣を駆除すべきか否かは「巣の場所」と「危険度」によって決めるのが最も安全で賢明です。
まずは、発見したミツバチの巣が本当に駆除すべき巣なのか、確認してみましょう。
❶ 知っておきたいミツバチの基本(スズメバチとの違い)
ミツバチは、花の受粉を助ける非常に重要な益虫です。スズメバチのような強い攻撃性はなく、通常は人間が近くを通るだけでは襲ってきません。
しかし、以下の場合は危険度が一気に跳ね上がります。
- 巣を刺激されたとき: 振動を与えたり、巣の近くで騒いだりすると防衛本能で刺してきます。
- 集団で襲われたとき: ミツバチの毒はアナフィラキシーショックを引き起こす可能性があり、複数箇所を刺されると命の危険があります。
判断を誤ると危険です。まずは、発見したのがミツバチの巣なのか、より危険なスズメバチの巣なのかを冷静に見分けましょう。それぞれの巣には以下のような特徴があります。
| 項目 | ミツバチの巣 | スズメバチの巣 |
|---|---|---|
| 形状 | ![]() 平板状のハニカム構造(多数の六角形の穴)。段々になっている。 | ![]() 球状やフラスコを逆さにしたような形状。マーブル模様(木目)が多い。 |
| 場所 | 屋根裏、床下、壁の中などの閉鎖空間が多い。木の枝など開放空間にも作る。 | 軒下、木の枝などの開放空間が多い。地中や樹洞にも作る。 |
| 色 | 白っぽい、または蜜の色で黄色っぽい。 | 外皮は灰色がかった茶色で、木を噛み砕いた繊維が層になっている。 |
もし形状が球形でマーブル模様ならスズメバチの巣です。スズメバチの巣は危険です。取り扱い方はこちらの記事で紹介していますので、こちらの記事をご確認ください。

❷ 【要確認】駆除すべきか判断する3つの基準
発見したのがミツバチの巣だと特定できたら、以下の3つの基準で駆除の必要性を判断しましょう。
【基準1】巣の大きさ・活動状況
| 巣の状態 | ソフトボール大未満(できたて) | ソフトボール大以上(成長中) |
|---|---|---|
| 判断 | 経過観察も可能 | 駆除を推奨 |
| 理由 | 蜂の数が少なく、駆除のリスクが低い。時期によっては自然にいなくなる可能性もある。 | 働き蜂の数が増え、巣を守ろうとする攻撃性が増している。放置するとさらに巨大化する。 |
【基準2】巣の場所(生活圏との距離)
巣がどこに作られたかが、駆除の必要性を判断する最も重要な基準です。
- 即座に駆除すべき危険な場所
- 玄関、ベランダ、軒下など人やペットの出入りが多い場所。
- 子供の遊び場や通学路に近い場所。
- アパート・マンションの共用部や、管理人がいる敷地内の場合。
- 経過観察が可能な場所
- 敷地の奥深く、人やペットが近づかない場所。
- 農作物への受粉を期待できる場所(農業従事者の場合)。
【基準3】時期
春先(4〜6月頃)に、女王蜂が新しい群れを作るために元の巣から出ていく現象を「分蜂(ぶんぽう)」と言います。
分蜂のとき、ミツバチが電柱や木の枝などにダンゴ状に固まって一時的に集合することがあります。
この分蜂は巣ではなく、一時的な「休憩所」であり、数時間〜数日でいなくなります。この一時的な分蜂であれば駆除の必要はなく、刺激せずにそっと見守るのが最善です。
ミツバチの巣を駆除せずに共存・保護する方法
特に危険度の低い場所に巣が作られた場合は、「駆除」ではなく「共存」や「保護」を検討することができます。
まずは安全を確保した上で、ミツバチを活かす方法も考えてみてください。
❶ 巣を刺激せず、そのまま放置して経過観察する方法
巣が以下の条件を満たしている場合は、安全を確保した上で経過観察が可能です。
- 人やペットの生活圏から十分に離れている場所にある。(例:敷地の隅にある使っていない倉庫の軒下、高い木の枝など)
- 巣の大きさが非常に小さい、または分蜂による一時的な集団である。
- アレルギー体質の家族や小さな子供がいない。
- 目印をつける、近づかない: 関係者全員で巣の場所を共有し、絶対に近づかないように注意喚起を徹底してください。
- 振動を与えない: 巣がある場所の近くで草刈り機や大きな音を出す作業は避けましょう。
- 冬を待つ: ミツバチは寒い時期になると活動が鈍くなり、巣を放棄して越冬場所へ移動することが多いです。
冬まで刺激せずに待ち、活動が完全に停止したのを確認してから、空になった巣を撤去するという選択肢もあります。
❷ 巣の移動・保護の相談先を探る
「駆除はしたくないが、今の場所にあると危険」という場合は、殺さずに巣を移動させる「保護」もできます。
ミツバチの巣は、法律上の制約(鳥獣保護管理法など)により、個人が無許可で捕獲したり移動させたりすることは困難です。しかし、以下の専門機関や団体に相談することで、保護を前提とした対応をしてもらえる可能性があります。
| 相談先 | 期待できる対応 | 注意点 |
|---|---|---|
| 地域の養蜂家 | 巣を丸ごと回収し、養蜂に役立ててくれる可能性がある。 | 受け入れ態勢があるかは地域や状況による。事前に電話で確認が必要。 |
| ミツバチ保護団体 | 専門知識を持った人が、安全な方法で巣を移動・保護してくれる可能性がある。 | ボランティア活動の場合もあるため、費用や対応スピードは確認が必要。 |
| 地域の役所・自治体 | 駆除は原則行わないが、上記の養蜂家や保護団体の連絡先を紹介してくれる場合がある。 | 基本的には相談窓口としての役割が中心。 |
❸ 巣の場所を特定されないようにする対策
ミツバチは、いったん巣を作るとその場所を「安全な家」と認識します。周辺の環境を整えることで、次の巣作りを予防したり、近寄りにくくしたりする対策も重要です。
- ミツバチが嫌がる香りを活用する: ハッカ油やレモングラスなどの香りは、ミツバチが嫌がる傾向があります。巣の近くや、巣を作られたくない場所に設置することで、警戒を促す効果が期待できます。
- 穴や隙間をふさぐ: ミツバチは閉鎖的な空間(屋根裏、床下の換気口など)に巣を作ることが多いため、春になる前に侵入されそうな隙間をネットやパテで塞いで予防しましょう。
安全な駆除・撤去方法の選び方と手順
ミツバチの巣を発見し、駆除しないといけないという判断に至った場合、次に来る悩みは「自分でやるべきか、プロに任せるべきか」です。
私たち駆除会社選びのサポートブログとしては、安全性を最優先して判断基準をご説明します。状況を以下のチャートで確認し、最適な方法を選びましょう。
❶ 自力で駆除できるケース・できないケース
| 判断項目 | YES(自力検討可) | NO(業者依頼を推奨) |
|---|---|---|
| 巣の大きさ | ソフトボール大未満(小さくできたて) | ソフトボール大以上(大きい、または形が複雑) |
| 蜂の活動量 | 働き蜂の数が少ない、日中の出入りがまばら | 大量の蜂が絶え間なく出入りしている |
| 巣の場所 | 手の届く高さにあり、足場が良い | 高所、壁の隙間、床下など、複雑で手が届きにくい場所 |
| ハチの種類 | 確実にミツバチだと断定できる | スズメバチの可能性が少しでもある、または種類が不明 |
| 装備の有無 | 防護服や専用のスプレーなど、準備万端である | 市販の殺虫剤や普段着で対処しようとしている |
特に、「巣の場所が複雑な場合」や「スズメバチの可能性がある場合」は、専門知識と特殊な装備が必須です。危険度が格段に上がるため、迷わず業者を選んでください。
❷【自力駆除の手順】安全に行うための5ステップ
自力駆除が「可能」と判断した場合でも、安全対策を徹底することが大前提です。少しでも不安を感じたらすぐに中止し、業者に切り替えてください。
- 防護服または厚手の長袖、長ズボン、手袋(軍手ではない)、帽子:肌を露出させないことが鉄則です。
- ミツバチ用駆除スプレー:強力な噴射力と即効性のあるものを選びましょう。
- ゴミ袋、ハサミ、トング:撤去後の巣を入れるために使用します。
- 赤いセロハン:ミツバチは赤色を認識しにくいため、スプレーの先端に巻き付けると安全性が高まります。
実行手順
時間帯を選ぶ
日没後、すべての蜂が巣に戻った夜間(20時〜22時頃)が最適です。日中の駆除は非常に危険です。
防護対策を徹底する
身体の露出をゼロにし、首元や袖口からの侵入経路がないか入念にチェックしてください。
巣に近づき噴射する
巣から2〜3m離れた場所から、風上を選んでスプレーを噴射します。蜂の動きが止まるまで、巣の穴にめがけて集中的に噴射し続けます。
巣の撤去と殺虫
蜂の動きが完全に止まったのを確認してから、トングやハサミで巣を切り落とし、すぐにゴミ袋に入れます。このとき、巣の裏などに蜂が残っていないか注意してください。
駆除後の処理
撤去した巣は、念のため駆除スプレーを噴霧してから袋を密封し、自治体のルールに従って適切に処分します。
❸自分で駆除する際の絶対NG行為
無用な危険を招く行為は絶対に避けてください。
- 日中の駆除:日中の働き蜂の多くは外で活動しており、夜間の数倍の危険があります。
- 煙で追い払う:蜂は刺激に敏感です。煙などで刺激すると、一斉に反撃してくる可能性があります。
- 巣に石を投げる、棒でつつく:巣を破壊する行為は、蜂の怒りを買い、集中攻撃を受ける最も危険な行為です。
- 素肌を露出した状態での作業:ミツバチは服の隙間から侵入してくることがあります。わずかな露出も避けましょう。
専門業者に依頼するメリットと費用相場
「自力での駆除は危険」「巣が大きくなりすぎた」「確実に再発させたくない」という場合は、専門業者への依頼が最も安全で確実な解決策です。
❶ 専門業者に依頼する3つの大きなメリット
プロに依頼することは、単に巣を取り除くだけでなく、不安を解消し、安全を確保するという大きな価値があります。
【メリット1】安全性の確保と刺傷リスクの最小化
プロの業者は、ミツバチの習性を熟知しており、専用の防護服や業務用の強力な駆除剤・特殊な工具を使用します。
- 確実な駆除: 経験に基づいた安全な手順で作業を行うため、刺されるリスクはほぼゼロになります。
- 場所を問わない対応: 高所や壁の内部、複雑な構造の場所など、素人では対処不可能な場所にある巣も安全に撤去できます。
【メリット2】巣の根絶と再発防止対策
ミツバチは、巣を撤去しても「巣があった場所の匂い」や「残された幼虫の匂い」に引き寄せられて、再び同じ場所に巣を作ることがあります。
- 徹底的な撤去: 専門業者は、巣本体だけでなく、巣盤や残された幼虫、フェロモンの匂いも徹底的に除去します。
- 再発予防の提案: 侵入経路を塞ぐための対策や、忌避剤の設置など、再発を防ぐための具体的なアドバイスや施工を提供してくれます。
【メリット3】迅速な対応と安心感の獲得
ミツバチの巣がある状況は、精神的なストレスが非常に大きいものです。
- 即日・緊急対応: 多くの業者は即日対応や深夜・早朝の作業にも対応しており、不安な状況をすぐに終わらせることができます。
- 保証制度: 駆除後に一定期間内に再発した場合、無償で再駆除を行うといった保証制度を設けている業者が多く、安心感が得られます。
❷ ミツバチの巣駆除にかかる費用の目安(相場)
費用は、「巣の大きさ」「作られた場所」「業者の方針」によって大きく変動します。あくまで目安として参考にしてください。
| 項目 | 費用の目安(税込) | 料金が高くなる要因 |
|---|---|---|
| ミツバチ駆除の基本料金 | 10,000円〜30,000円程度 | 巣の大きさ(大きいほど高くなる)、蜂の数、種類の特定(スズメバチだとさらに高額)。 |
| 高所作業費 | 5,000円〜20,000円程度 | 梯子や高所作業車が必要な、屋根裏や高い木の枝など。 |
| 出張費・深夜/早朝料金 | 3,000円〜10,000円程度 | 対応エリア外の場合や、夜間など緊急を要する作業の場合。 |
| 合計費用相場 | 15,000円〜50,000円程度 |
❸ 業者選びで失敗しないためのチェックポイント
費用を抑えつつ、確実な駆除を実現するために、以下のポイントを参考に優良な業者を選びましょう。
| チェックポイント | なぜ重要か |
|---|---|
| 無料見積もりと現地調査の有無 | 巣の状態を正確に把握しないと料金は出せません。見積もりが無料か、追加料金がないかを確認しましょう。 |
| 保証制度(再発保証)の有無 | 駆除後の再発リスクに備えるため、最低でも1ヶ月程度の再発保証が付いているか確認しましょう。 |
| 実績と専門性 | 駆除実績が豊富か、ミツバチの保護団体などと連携しているかを確認できると、より安心です。 |
| 対応スピードと受付時間 | 不安な状況を早く解決するため、24時間受付や即日対応が可能かを確認しましょう。 |
害虫駆除のおすすめ業者に関しては「害虫駆除の優良業者おすすめ9選!料金相場と失敗しない選び方」の記事で紹介していますので、よろしければご確認ください。

ミツバチ駆除に関するQ&A(よくある質問)
ミツバチの巣の駆除に関して、読者の方々からよく寄せられる疑問や、重要な知識についてまとめました。不安や疑問の解決にお役立てください。
こちらでハチの駆除に関する情報を発信しています。是非、こちらの記事もご覧ください。








