マイマイガは、樹木の葉を食い荒らすだけでなく人間にもアレルギー症状を引き起こすなど、卵でも幼虫でも成虫でも様々な被害を引き起こします。
こうしたマイマイガの駆除はどのようにしたら良いのでしょうか?
こちらでは、自力でのマイマイガの被害や駆除方法・業者へ依頼する場合の業者の選び方・駆除後に再発させない方法などを紹介します。
マイマイガの被害に悩んでいる方の参考になれば幸いです。

マイマイガは、数年おきに突発的に大発生する「不快害虫」および「森林害虫」としての特徴を持ちます。
最大の懸念は、4月から6月頃に出現する幼虫(毛虫)が持つ毒針毛です。
この微細な毒針毛は風に乗って飛散し、人の皮膚に付着することで、激しいかゆみや紅斑を伴う皮膚炎やアレルギー症状を引き起こします。
幼虫はサクラやコナラなど広範囲の樹木の葉を食い荒らすため、深刻な食害をもたらし、景観を損ねたり、樹勢を衰えさせたりします。
さらに、7月から8月に出現する成虫(蛾)は強い光に集まる性質があり、建物の外壁を覆い尽くすほどの大量飛来による見た目の不快感や、大量の鱗粉の飛散が生活環境を著しく悪化させます。
また、建物の隙間などに産み付けられる卵塊を放置すると、翌春のさらなる大発生の温床となるため、早期の対策が不可欠です。
マイマイガ駆除の前に!被害と危険性の基礎知識
マイマイガの大量発生は、不快感だけでなく、深刻な健康被害や生活被害をもたらします。
安全かつ確実に駆除を行うために、まずはマイマイガが、いつ、どのような形で、私たちに害を及ぼすのかを正しく把握しましょう。
❶ マイマイガのライフサイクル
マイマイガは、卵から成虫になるまで約1年間のサイクルで成長します。時期によって形や危険性が異なるため、適切な駆除のタイミングを見極めることが重要です。
| 時期 | 形態 | 危険性・被害 | 最適な駆除タイミング |
|---|---|---|---|
| 9月~翌年4月頃 | 卵塊 | 危険性は低いが、そのままにしておくと翌春に大量発生の温床となる。 | 物理的に除去する絶好のチャンス! |
| 4月~6月頃 | 幼虫(毛虫) | 最も危険な時期。 毒針毛による健康被害や、樹木の食害が深刻化する。 | 殺虫剤や専門業者による集中的な駆除。 |
| 7月~8月頃 | 成虫(蛾) | 毒針毛のリスクは低いが、大量の鱗粉が舞い、建物に貼り付いて強い不快感を与える。 | 照明対策や物理的な捕獲。 |



❷ 幼虫の毒性と健康被害のリスク
マイマイガの幼虫(毛虫)は、見た目の不快感に加えて、深刻な皮膚炎を引き起こす危険性があります。
- 毒針毛の危険性: 幼虫の体には目に見えないほどの細かな毒針毛があります。この毒針毛は風に乗って飛散したり、死骸が乾燥して砕けたりしても、私たちの皮膚に付着します。付着すると、かゆみや赤み、発疹といった皮膚炎(かぶれ)を引き起こします。特に、幼虫が成長する4月~6月頃は、屋外での作業や洗濯物の取り込み時などに注意が必要です。
- 鱗粉によるアレルギー: 成虫の蛾になっても、体表の鱗粉がアレルギー反応を引き起こす場合があります。大量発生した際に鱗粉が飛散すると、目のかゆみや鼻炎などの症状を誘発する可能性があります。
❸ マイマイガが引き起こす具体的な被害
健康被害以外にも、マイマイガは生活環境にさまざまな悪影響をもたらします。
- 樹木や植栽の食害: 孵化した幼虫は集団で活動し、庭木や公園の樹木の葉を食い荒らします。被害が拡大すると、木の景観が悪くなるだけでなく、最悪の場合、樹木を枯らしてしまうこともあります。
- 建物の外観と不快感: 建物の外壁や窓枠に大量の卵塊が産み付けられたり、幼虫や成虫が張り付いたりすることで、見た目が著しく損なわれます。また、成虫のフンや死骸が落ちることで、清掃の手間が増えるといった問題も発生します。
- 大量発生による近隣トラブル: マイマイガは数年周期で大発生する性質があります。自宅での対策が不十分だと、被害が近隣の敷地にも広がり、近隣住民とのトラブルに発展するリスクも無視できません。
これらの被害と危険性を踏まえ、「駆除は待ったなしの緊急事態」であることを認識し、安全を確保したうえで駆除をしましょう。
【時期別】マイマイガの正しい駆除方法と安全対策
マイマイガ駆除の成功は、「いつ、何を、どう処理するか」にかかっています。
時期を逃すと駆除の手間が大幅に増え、危険性も高まります。ここでは、マイマイガの成長段階に応じた、最も効果的で安全な対策をご紹介します。
❶ 卵塊の駆除:最も効率的で安全な時期の対策【時期:9月~翌年4月頃】

この時期はマイマイガが唯一動かない「卵」の状態であり、翌年の大量発生を根本から防ぐための最も重要なチャンスです。
方法:物理的な除去が基本
- 発見と準備: 外壁、樹木の幹、軒下など、雨風の当たらない場所に産み付けられた茶色いフェルト状の卵塊を探します。
- 安全の確保: 毒針毛が残っている可能性があるため、必ず厚手のゴム手袋とマスク、長袖長ズボンを着用します。
- 剥がし取り: マイマイガの卵塊は硬いので、ヘラやマイナスドライバーなどで丁寧に削り取るように剥がします。
- 正しい処分: 剥がし取った卵塊は、ビニール袋や新聞紙に包み、上から粘着テープを巻いて厳重に密閉します。そのまま可燃ごみとして処分してください。
❷ 幼虫(毛虫)の駆除:最優先で取り組むべき対策【時期:4月~6月頃】

この時期は毒針毛による健康被害のリスクが最大になり、食害も広がるため、迅速かつ慎重な対応が求められます。
| 対策 | やり方 |
|---|---|
| 方法1:初期段階のDIY駆除(数が少ない場合) | 幼虫が小さく、数がまだ少ない初期段階であれば、市販の殺虫剤での対応が可能です。 有効な薬剤: マイマイガの幼虫に効果があるとされるIGR剤(成長制御剤)や、有機リン系の殺虫剤(例:スミチオン乳剤など)を規定の濃度で散布します。 散布のタイミング: 幼虫が分散し始める前(若齢期)が最も効果的です。また、風の弱い日を選び、周囲に飛散しないよう注意して散布してください。 |
| 方法2:大量発生時の対応(専門業者への相談ライン) | 危険なDIYのボーダーライン: 幼虫の数が非常に多い、または手の届かない高所の樹木で発生している場合は、無理なDIYは絶対に避けてください。毒針毛を吸い込むリスクや、高所作業での転落リスクが伴います。 専門業者への依頼: 業者であれば、高圧噴霧器や高所作業車を使用し、広範囲にわたって効果的に薬剤を散布できます。 安全な防護服を着用し、毒針毛の飛散を最小限に抑えながら確実に処理します。 「大量発生している」「高所の木全体を駆除したい」場合は、迷わず専門業者への相談を検討しましょう。 |
【必須】幼虫駆除時の安全対策
幼虫駆除を行う際は、毒針毛の付着・吸引を防ぐため、以下の装備を徹底してください。
- 長袖・長ズボン、帽子、ゴーグル
- 厚手のゴム手袋
- 高性能なマスク(N95など)
- 作業後は、着用していた服をすぐに脱ぎ、粘着ローラーで毒針毛を取り除いてから洗濯してください。
❸ 成虫(蛾)の駆除:鱗粉対策が重要な時期の対策

【時期:7月~8月頃】成虫は光に集まる性質が強く、建物の外壁を覆い尽くすように張り付くことがあります。毒針毛の危険性は幼虫より低いですが、鱗粉によるアレルギーに注意が必要です。
| 対策 | やり方 |
|---|---|
| 方法1:光害対策 | 夜間に外壁や窓に集まるのを防ぐため、誘虫性の高い白色の蛍光灯や水銀灯を消灯するか、誘虫性の低いLEDやナトリウムランプに交換を検討してください。 窓や玄関灯には遮光カーテンやカバーを利用します。 |
| 方法2:物理的な捕獲 | 成虫は静止していることが多いため、鱗粉を舞い上げないようにそっと捕獲ネットや粘着シートで捕らえます。 捕獲した蛾は、ビニール袋に入れて密閉し、可燃ごみとして処分します。 |
この時期別の適切な対応をとることで、マイマイガ被害を最小限に食い止めることができます。
状況が深刻な場合は、無理せず次のセクションで解説する専門業者への依頼を検討しましょう。
マイマイガ駆除は自力か業者かの判断基準
マイマイガの駆除は、「自分で頑張れば安く済む」という考え方とと、「危険を伴うため専門家に任せるべき」という2つの考え方があります。
こんな場合は、状況に合わせてどちらが最適なのかを判断してください。
❶ 自分で駆除するメリット・デメリット
DIY(自分で駆除)はコストを抑えられますが、安全面でのリスクを伴います。
| メリット | デメリット |
|---|---|
| 低コストで済む 軽度の被害なら即座に対応できる 自分のペースで作業できる | 高所作業や広範囲の処理が困難 毒針毛による健康被害のリスクが高い 駆除が不完全だと再発しやすい |
ご自宅の状況が以下のいずれかに当てはまる場合、ご自身での駆除が可能です。
- 被害が軽微である: 卵塊の数が数個程度、または幼虫が初期で発生範囲が限定的である。
- 手の届く範囲である: 脚立などを使わずに作業できる、地面から2メートル以下の範囲で完結する。
- 適切な防護装備が準備できる: 高性能なマスクや手袋などの装備を揃えられる。
❷ 業者に依頼すべきケース(安全・確実性を重視する方へ)
被害が一定のレベルを超えている場合、無理に自分で対処しようとせず、プロの駆除業者に任せることも考えましょう。
業者に依頼すべきボーダーライン
以下のうち、1つでも当てはまる場合は、専門業者への相談をおすすめします。
- 幼虫が大量発生している: 庭木や外壁全体を覆うほど大量の幼虫が発生しており、自分で駆除できるレベルを超えている。
- 高所の駆除が必要: 2階の軒下や屋根近くの木など、脚立を使っても届かない高所の作業が必要となる。
- 毒針毛の処理に不安がある: 幼いお子様や高齢者、アレルギー体質の方が同居しており、少しでも毒針毛のリスクを減らしたい。
- 広範囲の樹木が被害を受けている: 庭の木すべて、または広範囲にわたり食害が発生し、専門的な薬剤散布が必要である。
- 再発を絶対に防ぎたい: 確実な駆除と、その後の効果的な再発防止策のアドバイスや施工を受けたい。
❸ 業者に依頼するメリット
「業者に頼むのは費用が高いのでは?」という心配もありますが、確実に駆除をしてもらえるため、自力で作業を繰り返すよりは安くつく場合もあります。
- 徹底した駆除と安全性: 専門的な機材と薬剤を使用し、毒針毛や鱗粉の飛散を最小限に抑えながら、安全かつ確実に駆除してくれます。
- 高所作業もお任せ: 高所作業車などを利用し、ご自身では危険な場所の卵塊や幼虫も確実に除去できます。
- 再発防止策の提案: 駆除後の予防策や、状況に応じた環境改善のアドバイスを受けられます。
- 健康被害のリスク回避: 最も危険な駆除作業をプロに任せることで、ご自身の健康被害リスクをゼロにできます。
「大量発生している」「高所で危険」と感じたら、専門家の手を借りるタイミングです。
自力で危険な作業をせずに、まずは駆除業者を探して、無料の見積もりを取ってみてから判断するという方法もあります。
駆除業者に依頼する際の費用相場と選び方
マイマイガ駆除の費用は、被害の範囲や建物の状況によって大きく変動するため、「〇〇円で済みます」と断言することはできません。
しかし、事前に費用の目安や信頼できる業者の選び方を知っておけば、不当な請求を防ぐことができます。
❶ マイマイガ駆除の費用相場
駆除費用は、主に作業の規模と作業の難易度(高さ)で決まります。あくまで目安ですが、以下の要因によって費用が変わります。被害が少ないうちに対処してしまうのが一番安上がりです。
- 卵塊除去:
- 卵塊をヘラなどで除去する作業。数や高さに応じて料金が変動します。
- 幼虫(毛虫)の薬剤散布:
- 樹木や建物の壁面への薬剤散布が中心です。
- 樹木の本数や高さ(高所作業の有無)によって料金が大きく変わります。特に高所作業費は、専用機材を使うため高くなる傾向があります。
- 成虫の光害対策:
- 照明の変更や防除措置の提案など。
| 作業内容 | 費用相場の目安 |
|---|---|
| 軽度の駆除 (一戸建ての低所・一部の樹木) | 2万円~5万円程度 |
| 中程度の駆除 (高所作業あり・複数本の樹木) | 5万円~15万円程度 |
| 大規模な駆除 (広範囲の敷地・マンションなど) | 15万円以上 |
【注意】見積もりが高くなる要因
- 高所作業費: 2階以上の場所や大きな木に対する作業は、特別料金が発生します。
- 被害の広範囲化: 敷地全体や建物全体に被害が及んでいる場合。
- 再発防止のオプション: 薬剤を定期的に散布するなどの年間契約やオプション作業。
❷ 信頼できる駆除業者を見極めるためのチェックポイント
マイマイガの駆除は専門知識と危険な作業が伴うため、業者選びが非常に重要です。以下のポイントをチェックして、信頼できる業者を選びましょう。
- 駆除方法と薬剤の説明は明確か?
- 料金体系は明朗か?
- 「一式」ではなく、作業ごとの単価や追加料金が発生する条件が明確に記載された詳細な見積書を提出してくれるか確認しましょう。
- 損害賠償保険に加入しているか?
- 作業中に誤って建物を破損したり、人身事故を起こしたりした場合に備え、適切な保険に加入しているかを確認しましょう。
- 駆除後の保証やアフターフォローはあるか?
❸ 地域と状況に合わせた最適な駆除業者を探すには?
マイマイガの駆除は、地域特有の発生状況や自治体の補助金制度が関係することもあります。
不安な状況だからと、焦って一社で決めるのではなく、複数の業者を比較検討しましょう。相見積もりを取ることで、費用が適正かどうかの判断ができ、最も信頼できる業者を見つけることができます。
状況に合った専門業者を見つけるには、おすすめの駆除業者のページも見てみてください。
害虫駆除のおすすめ業者に関しては「害虫駆除の優良業者おすすめ9選!料金相場と失敗しない選び方」の記事で紹介していますので、よろしければご確認ください。

マイマイガを二度と発生させないための予防策
せっかくマイマイガを駆除しても、すぐに再発してしまっては意味がありません。
マイマイガは数年周期で大量発生する性質を持つため、駆除後の予防対策こそが、長期的に安心した生活を送るための鍵となります。
❶ 幼虫・成虫を寄せ付けない環境づくり
マイマイガの性質を理解し、マイマイガが好む環境を排除することが重要です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| (1) 夜間照明の工夫(光害対策) | マイマイガの成虫は、光に強く引き寄せられます。これを「光害」と呼びます。 照明の切り替え: マイマイガが好む紫外線(UV)を多く含む照明(白色蛍光灯、水銀灯など)の使用を減らしましょう。 低誘虫性照明の導入: 誘虫性の低いLED照明(特に黄色やオレンジなど暖色系)や、光を必要最小限にするセンサーライトへの切り替えを検討しましょう。 遮光: 夜間、室内の光が外に漏れないよう、遮光カーテンを閉めることを習慣づけましょう。 |
| (2) 庭木の剪定と管理 | 庭木や樹木は、マイマイガの幼虫の食料となり、卵塊を産み付ける場所にもなります。 定期的な剪定: 庭木を定期的に剪定し、枝葉が茂りすぎないようにすることで、幼虫の発生や卵塊の産み付けを防ぎやすくなります。 卵塊のチェック: 特に9月〜翌年4月の間は、外壁や樹木の幹を定期的にパトロールし、見つけ次第すぐに卵塊を物理的に除去しましょう。この地道な作業が、翌年の大発生を水際で防ぎます。 |
❷ 自治体や近隣との連携
マイマイガの被害は、一軒家だけで完結するものではありません。地域全体で対策を行うことで、より大きな予防効果が得られます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| (1) 自治体による駆除情報の確認と補助制度の利用 | 情報収集: お住まいの市区町村で、マイマイガの大量発生に関する注意喚起や、卵塊の正しい除去方法に関する情報を提供している場合があります。まずは自治体のウェブサイトを確認しましょう。 補助制度の活用: 自治体によっては、住民の駆除費用の一部を補助する制度(補助金)を設けている場合があります。業者に依頼する前に、利用できる制度がないか窓口に問い合わせてみましょう。 |
| (2) 近隣との連携 | 情報共有: マイマイガの発生状況や、効果があった対策を近隣住民や自治会と共有しましょう。 地域一体の駆除: 隣接する家やアパートで対策がおろそかになっていると、そこから再び飛来してくる可能性があります。地域一体となって卵塊除去や樹木の管理を行うことで、効果的に被害を抑えることができます。 |
長期的な予防策は、継続的な努力が必要です。しかし、一度安心できる環境を整えれば、マイマイガに悩まされない生活を取り戻すことができます。
