キジバトが侵入して巣を作ってしまったら、撤去はなかなか大変になります。
まだ巣がないようであれば巣を作らせないように配慮し、もし巣ができてしまったら卵やヒナがいない状態で撤去するか、ヒナが巣立ったタイミングで撤去することがおすすめです。
| キジバトの特徴 |
![]() キジバトは、もともと山林に生息する日本在来種ですが、近年は環境の変化に伴い農村地域から市街地にも進出しています。 ドバトよりは警戒心が強いものの、住宅の庭やベランダなどに現れることがあります。 キジバトは群れではなく、主に単独またはつがいで行動し、首元にウロコ状の模様があるのが特徴です。 ドバトのような集団での大規模な糞害よりは、特定の場所での営巣や、早朝の独特な鳴き声による騒が問題となることがあります。 |
なぜキジバトの巣を放置してはいけないのか?3つの深刻な被害
ベランダや軒先にキジバトの巣を見つけて、「まあ、そのうちいなくなるだろう」と放置するのは大変危険です。
キジバトの巣を放置すると、ご自身の健康被害や経済的負担につながる深刻な問題が発生します。
1. 深刻な衛生問題:糞による病原菌・ダニの危険性
キジバトの糞には、人間を含む哺乳類に影響を与える病原菌や寄生虫が含まれている可能性があります。特に巣の周辺に溜まった乾燥した糞や巣材は、健康被害を引き起こします。
- 病原菌による感染症
- クリプトコッカス症: 糞に含まれる真菌を吸い込むことで発症する呼吸器系の病気です。
- オウム病(クラミジア症): 鳥の排泄物や体液から感染する可能性があり、肺炎のような症状を引き起こすことがあります。
- 鳥ダニの発生
- 巣には、鳥の血を吸って生きる鳥ダニが大量に発生します。巣立ちなどで鳥がいなくなると、エサを求めて屋内に侵入し、人間を刺したり噛んだりすることがあります。
- 強烈なかゆみや皮膚炎の原因となり、夜間の睡眠を妨げる大きなストレスとなります。
2. 建物の汚損と経済的被害
キジバトは一度気に入った場所に巣を作ると、その周辺で生活を続けます。糞を大量に排出するため、建物が糞によって腐るなど深刻な被害を受け、結果的に大きな修繕費用が発生します。
- 建物の腐食と劣化: 糞は強い酸性のため、ベランダの手すり、金属製の室外機、外壁の塗装などを腐食させ、シミやサビ、劣化を早めます。
- 排水管の詰まり: 巣材(小枝など)や大量の糞がベランダの排水溝に流れ込み、詰まりを引き起こします。これが原因で水漏れや浸水のトラブルに発展するケースもあります。
3. 騒音と精神的ストレス
キジバトの鳴き声は、特に繁殖期や早朝・夕方に頻繁になります。その鳴き声や羽ばたきで寝不足など精神的なストレスを引き起こします。
- 鳴き声による騒音: キジバト特有の「デデーポッポー」という低い鳴き声は、静かな住宅地では思いのほか響きます。早朝から鳴き始めると、睡眠を妨害され、日常的なストレス源となります。
- 安心感の喪失: 常に鳥が周囲にいることで、プライバシーの侵害や、糞害・病原菌への不安感から、自宅での生活の安心感が損なわれてしまいます。
これらの理由から、キジバトの巣を見つけたら、被害が拡大する前に「法律を遵守した上で、適切な対処」を行うことが非常に重要です。
【必見】キジバトの巣に手を出す前に知るべき「鳥獣保護法」の壁
1. キジバトは「守られている鳥」:原則捕獲・駆除は禁止
キジバトは、狩猟鳥獣に指定されているものの、鳥獣保護管理法によって保護の対象とされています。
この法律に基づき、原則として許可なくキジバトを捕獲したり、卵やヒナを駆除したりすることは禁止されています。
- 違反した場合の罰則: 法に違反して鳥や卵を捕獲・殺傷した場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金に処される可能性があります。
自宅敷地内だからといって、安易に巣に手を出してはいけないことを理解しましょう。
2. 「巣の撤去・追い出し」が「合法」となるタイミング
では、被害に遭っても何もできないのでしょうか?合法的に対応できるのは、以下の状況に限られます。
- 合法的に巣を撤去できる条件
- 巣に「卵」や「ヒナ」が一切存在しない場合です。
- 親鳥がたまたま留守にしているだけで、卵やヒナがいる可能性がある場合は違法となるため、確実な判断が必要です。巣の形跡があるだけで、まだ使用されていない状態であれば、すぐに撤去・清掃し、予防策を施しましょう。
- 親鳥を傷つけない「追い出し」と「予防策」
- 鳥を殺傷したり、卵やヒナを取り除く行為が禁止されているのであって、鳥が寄り付かないようにする対策(物理的な侵入防止策や忌避剤の設置)は問題ありません。
- キジバトが巣を作るのを諦めさせるための対策を施すことは、合法的な対処法となります。
3. 「許可」を得てやむを得ず撤去する方法(自治体への申請)
卵やヒナが既に巣にあり、どうしてもやむを得ない理由(例:健康被害が深刻、業務上の支障が大きいなど)で撤去したい場合は、自治体(都道府県)に「捕獲許可申請」を行う必要があります。
この申請が認められれば、行政の指導のもと、合法的に巣を撤去できる場合があります。しかし、申請には手間と時間がかかり、必ず許可が下りるとは限りません。
【状況別】キジバトの巣の正しい対処方法と再発防止策
「鳥獣保護法」の制約を踏まえた上で、キジバトの巣の被害を解消し、平穏な日常を取り戻すための具体的な手順を、巣の状況別に解説します。法律を遵守し、安全かつ確実に問題解決を目指しましょう。
1. 【巣が未完成・卵なし】の場合の対処法
これが最も被害を最小限に抑え、簡単に解決できるチャンスです。親鳥が巣材を運び始めた段階や、まだ卵を産んでいない状態であれば、合法的にすぐに対策を講じることができます。
即時撤去と侵入防止
巣材の即時撤去
持ち込まれた小枝などの巣材を、手袋・マスクを着用してすべて取り除きます。
清掃・消毒
糞の痕跡があれば、ブラシで除去し、アルコールや次亜塩素酸ナトリウム系の消毒液で清掃・消毒します。
侵入対策の設置
親鳥が「ここでの営巣は無理だ」と諦めるよう、すぐに物理的な対策を施します。
2. 【卵・ヒナがいる】場合の対処法(触らずに見守るか、プロに依頼)
この状況は、鳥獣保護法により、原則として個人の手で撤去することはできません。法律違反のリスクを負うよりも、被害を最小限に抑える方法を選びましょう。
見守り後の即時対応
見守りの徹底
卵を産み始めてから巣立ちまでは、通常1ヶ月〜1ヶ月半程度です。この期間は、物理的な攻撃や大きな音を立てて脅かすなど、親鳥を刺激する行為は絶対に避けましょう。
被害拡大の防止
巣の周囲にシートを敷くなどして、糞が広範囲に及ぶのを防ぎます。
巣立ち後の即時対応
ヒナが完全に飛び立ち、親鳥も戻ってこなくなったことを確認したら、時間を置かずにすぐに以下の作業を行います。
- 巣の撤去と廃棄: 巣とその周辺を撤去し、適切に廃棄します。
- 徹底的な清掃・消毒: 糞や巣材に潜む病原菌や鳥ダニを駆除するため、専門的な清掃と消毒を徹底します。
3. 【決定版】キジバトの再発を防ぐための予防策
キジバトは一度成功した場所に再び巣を作ろうとする習性があります。被害を繰り返さないためには、巣立ち後の徹底した予防策が不可欠です。
最も有効な再発防止策は「物理的な遮断」
| 予防策 | 特徴と設置のポイント |
|---|---|
| 防鳥ネット | 最も効果的かつ確実。 ベランダ全体、または室外機周辺など、キジバトの侵入経路を完全に遮断します。隙間なく張ることが重要です。 |
| バードスパイク(剣山) | 手すりや室外機の上部など、キジバトが着地・休憩する場所に設置します。鳥を傷つけず、物理的に留まるのを防ぎます。 |
| 防鳥ワイヤー | ベランダの手すりなど、鳥がよく留まる場所の少し上に細いワイヤーを張り、着地しにくい状況を作ります。 |
| 忌避剤(ジェル・スプレー) | キジバトが嫌う臭いや触感を嫌がらせることで寄り付かせません。ただし、効果は永続的ではないため、物理的な対策の補助として使用します。 |
最も重要なことは、キジバトにとって「安全で快適な営巣場所ではない」と認識させることです。
特に物理的な対策は、自力での設置に限界がある場合も多いため、プロの業者に相談することで、より景観を損なわず、効果の高い対策を施すことができます。
「絶対に失敗したくない」ならプロの害鳥駆除業者に相談すべき理由
キジバトの巣被害を目の前にすると、自分でどうにかしたいと思うのは自然なことです。しかし、ここまで解説した通り、キジバトの駆除や撤去には「鳥獣保護法」という高い壁があり、清掃には「健康被害のリスク」が伴います。
「もう二度と被害に遭いたくない」「確実に、そして合法的に解決したい」と望むなら、プロの害鳥駆除業者に相談することが、最おすすめです。
1. プロに任せる最大のメリットは「安全」と「確実性」
プロの業者は、自力では難しい以下のような問題を一挙に解決してくれます。
- メリット1:鳥獣保護法を遵守した上で、自治体への申請代行も可能
- 巣に卵やヒナがいて、緊急性が高い場合、個人で許可申請を行うのは煩雑で時間もかかります。専門業者は、法律に基づいた適切な手続きや、やむを得ない場合の自治体への捕獲許可申請のサポート(代行)が可能です。これにより、利用者が法に触れるリスクを完全に排除できます。
- メリット2:巣の残留物や菌を徹底的に除去・消毒できる
- プロは、巣や糞に潜む鳥ダニや病原菌の危険性を熟知しています。見た目の清掃だけでなく、専用の強力な薬剤と機材を用いて、高レベルの消毒・殺菌を行います。これにより、衛生面での不安を根本から解消できます。
- メリット3:プロ仕様の再発防止策で、キジバトの帰還を阻止
- 自力で設置したネットやスパイクは、隙間があったり、設置方法が不十分だったりして、すぐにキジバトに突破されてしまうことがあります。業者は、建物の構造やキジバトの行動パターンを分析し、プロ仕様の防鳥ネットや忌避対策を景観を損なわないように確実に施します。
2. 失敗しないキジバト駆除業者の選び方【3つのポイント】
プロに依頼する際、業者選びで失敗しないために、以下の3つのポイントを確認しましょう。
- ポイント1:鳥獣保護法に関する知識・実績が豊富か
- 「すぐに撤去できます」と安易に言う業者ではなく、「まずは状況確認が必要です」「卵がある場合は許可が必要です」など、法律を前提とした説明ができる業者を選びましょう。キジバト駆除の実績数も重要な判断材料です。
- ポイント2:再発防止の「保証期間」があるか
- 施工後に一定期間の保証を設けているかを確認しましょう。万が一、駆除や予防策を施したにもかかわらずキジバトが再営巣した場合に、無償で再施工してくれる保証があれば、長期的な安心感が得られます。
- ポイント3:事前見積もりを明確に提示するか
- 駆除費用は、巣の場所(高所作業の有無)や被害の程度、設置する予防策によって変動します。現地調査後の見積もりが明瞭で、内訳がきちんと説明される業者を選びましょう。不明瞭な追加費用が発生しないか、事前に確認することが大切です。
害獣駆除のおすすめ業者に関しては「害獣駆除おすすめ業者10選!料金相場と選び方も紹介!」の記事で紹介していますので、よろしければご確認ください。

こちらでハトの駆除に関する情報を発信しています。是非、こちらの記事もご覧ください。



キジバトの巣の駆除に関するまとめ
キジバトは法律に守られていいるため、勝手に駆除することはできません。キジバトの巣の場合は、ヒナや卵がなければ駆除が可能になります。
そのため、ヒナや卵のないタイミングを見計らって巣を始末するのが一番効率的になります。
駆除や追い出しは個人でもできますが、再発があるようであればプロに依頼するのが一番です。

