犬にノミを発見したら?駆除方法と正しい予防薬の選び方を解説

犬にノミを発見したら?駆除方法と正しい予防薬の選び方を解説

飼っているワンちゃんにノミがついていたらどうしたら良いのでしょう!

こちらの記事では、ノミの緊急駆除法・予防薬・家のノミが入り込まないように徹底的に守る方法を紹介します。

犬を飼っている方の参考になれば幸いです。

ノミの特徴

犬に寄生するノミは主に「ネコノミ」という種類ですが、宿主を選ばず人を含む哺乳類にも被害を及ぼす厄介な害虫です。

体長約1〜3mmと非常に小さく、暗褐色で、驚異的な跳躍力を持つのが大きな特徴です。

このノミは、犬の体温で温められた環境で吸血しながら生殖し、一度に大量の卵を産み落とします。卵はすぐに犬の体から落ち、カーペットや家具の隙間などで孵化し、幼虫、さなぎへと成長するため、犬の駆除だけでは根絶が難しくなります。

ノミの吸血は強いかゆみを引き起こし、特にアレルギー体質の犬にはノミアレルギー性皮膚炎という重篤な皮膚病の原因となります。

また、ノミが媒介する瓜実条虫などの寄生虫感染リスクや、人への吸血被害もあるため、単なるかゆみで済まされない公衆衛生上の問題も持っています。

目次

ノミを発見した時に「絶対にしてはいけないこと」と「最優先にすべきこと」

愛犬の体にノミを見つけてしまって焦って行動してしまうと、かえってノミの被害を拡大させたり愛犬を危険に晒してしまう可能性があります。

ここでは、ノミを発見した直後に絶対にしてはいけないことと、愛犬と家庭の安全のために最優先で取るべき行動について解説します。

ノミの駆除を失敗し、被害を拡大させてしまう典型的なNG行動が「ノミを潰すこと」と「そのまま放置すること」です。

❶ 【してはいけないこと】応急処置でノミを潰す

ノミを指や爪で潰してしまうと、以下の大きなリスクで被害を拡大させてしまいます。

  • 卵や菌の拡散リスク: ノミの体内には、大量の卵や雑菌が含まれています。潰した際に、これらが部屋や犬の体に飛び散り、ノミの被害や感染症のリスクを拡大させてしまう可能性があります。
  • 寄生虫感染リスク: ノミは、犬の消化器官に寄生する「瓜実条虫(うりざねじょうちゅう)」というサナダムシの幼虫を体内に持っていることがあります。ノミを潰すことで、万が一そのノミを犬が舐めたり飲み込んだりした場合、この寄生虫に感染するリスクが生じます。

ノミを見つけたら、潰さずにセロハンテープなどで捕獲し、すぐに駆除薬やシャンプーで対処するようにしましょう。

❷ 【してはいけないこと】ノミをそのまま放置

ノミは驚異的なスピードで繁殖します。体についているノミは全体のわずか5%程度であり、残りの95%は卵や幼虫、さなぎとなってカーペットや犬の寝床に潜伏していると言われています。

放置すると、わずか数週間で家全体がノミの温床となり、愛犬だけでなく飼い主様やご家族の健康にも影響が及びます。

❸【最優先にすべきこと】動物病院に連絡・相談するべき理由

ノミを発見したということは、愛犬がすでに何らかの病気のリスクに晒されていることを意味します。自己判断せず、専門家である獣医師に相談することが最も安全で確実です。

  • ノミの媒介する病気の診断: ノミの唾液は強いアレルゲンであり、「ノミアレルギー性皮膚炎」を引き起こす可能性があります。また、上述の瓜実条虫症など、他の寄生虫の有無も確認が必要です。
  • 最も安全で効果的な駆除薬の処方: 獣医師は愛犬の体重や健康状態、ノミの寄生状況を考慮し、最も効果的で即効性のある駆除薬(経口薬やスポットオンなど)を処方してくれます。市販薬よりも確実に駆除できるため、迷わず頼るべきです。

❹【最優先にすべきこと】 応急処置として安全にノミを取る方法

動物病院へ行くまでの間や、応急処置としてノミを取りたい場合は、以下のような安全な方法で行いましょう。

  • ノミ取りコームの使用: 目の細かい専用のコームで丁寧に毛をすき、ノミをすくい取ります。
  • 熱湯による即死処分: コームですくい取ったノミは、潰さずに洗面器などの熱湯(50度以上)に入れて駆除します。ノミは水には強く、水に入れても生き残るため、必ず熱湯を使用してください。
  • 食器用洗剤を入れた水に浸す: 熱湯がない場合は、食器用洗剤を混ぜた水にノミを入れ、窒息させる方法もあります。

最優先にすべきことは、動物病院で正しい診断と駆除薬を手に入れることです。その間にできる範囲で、ノミを潰さずに対処しましょう。

2種類の駆除方法:動物病院の薬 vs 市販薬・グッズ

ノミの駆除方法には、大きく分けて「動物病院で処方される薬」と「ドラッグストアなどで購入できる市販薬・グッズ」の2つの選択肢があります。

ノミを確実に駆除するためには、それぞれのメリットとデメリットを理解し状況に応じて最適な方法を選ぶことが重要です。

❶ 最も確実な「動物病院での処方薬」のメリット・デメリット

動物病院で処方されるノミ駆除薬は、獣医師の診断のもとで投与されるため、安全性と効果の確実性が最も高い方法です。

メリットデメリット
高い確実性と即効性診察代や薬代を含め、費用が高くなる傾向がある。
安全性の高さ獣医師が愛犬の体重・健康状態に応じて処方するため、副作用のリスクが低い。
受診の手間病院への移動や待ち時間がかかる。
予防効果の高さノミだけでなく、マダニやフィラリアなど複数の寄生虫に対応した薬を選べる。
処方箋が必要ネット通販などで手軽に購入できない。

💡 ノミの発見直後や、ノミアレルギーの疑いがある場合は、まず病院で診断を受け、確実な処方薬を使用することが最善です。

❷ 市販のノミ駆除薬(滴下タイプ、経口タイプ)の特徴と比較

ドラッグストアやホームセンター・ネット通販で購入できる市販薬は、その効果や安全性は処方薬に劣ります

種類特徴注意点
滴下(スポットオン)タイプ犬の背中に垂らすことで皮膚から吸収され、ノミを駆除する。手軽で広く使われている。舐めてしまわないよう注意が必要。製品によっては、処方薬に比べてノミへの抵抗性が高い場合がある。
経口(食べる)タイプ薬を餌などに混ぜて飲ませる。体内に取り込むため、水濡れなどに影響されない。食いつきが悪いと投与が難しい場合がある。効果や安全性は、必ず動物用医薬品(第1類など)であることを確認すること。

注意点: 市販されている駆除薬の中には、動物用医薬品(効果が認められた薬)と、動物用医薬部外品(予防や虫よけ程度)があります。確実な駆除を目指すなら、必ず「動物用医薬品」と表示されたものを選びましょう。

❸ ノミ取りシャンプーや首輪の有効性とその限界

  • ノミ取りシャンプー:
    • 有効性: 犬の体に付着しているノミを洗い流す一時的な駆除効果はあります。
    • 限界: 体外のノミを駆除しても、ノミの卵や幼虫、さなぎはカーペットや寝床に残っているため、根絶にはつながりません。あくまで補助的な手段として活用しましょう。
  • ノミ取り首輪:
    • 有効性: 首輪からノミが嫌がる成分を放出し、ノミの付着を予防する効果があります。
    • 限界: 首から離れた部位(特に尾の付け根など)には効果が薄く、すでに大量に寄生しているノミを駆除する力は期待できません。予防として補助的に使うべきでしょう。

確実な駆除と愛犬の健康を守るためには、動物病院で処方された駆除薬の使用を強く推奨します。予防についても、獣医師と相談しながら継続的に行っていくことが大切です。

犬の体だけでなく家からもノミを駆除する方法

ベッド

ノミの厄介な点は、犬の体についている成虫がノミ全体のわずか約5%に過ぎず、残りの約95%は卵、幼虫、さなぎの状態で家の中に潜んでいるという事実です。

愛犬の体に付着したノミを駆除しても、家の中のノミを放置すれば、すぐに再寄生されてしまいます。ノミの被害を完全に終わらせるためには、「犬の体」と「家の中の環境」の両方を徹底的に駆除する必要があります。

❶ ノミの生活サイクルを知る:卵、幼虫、さなぎの潜伏場所

家の中のどこにノミが潜んでいるのかを知ることが、駆除対策の第一歩です。ノミの生活サイクルは主に以下の場所で進行します。

  • 卵: 成虫が犬の体で産卵した後、床や寝床に落ちます。
  • 幼虫: 落ちた卵から孵化し、光を避けて、カーペットの繊維の奥、家具の隙間、畳の下など、暗く湿った場所に潜り込みます。犬のフケなどを食べて成長します。
  • さなぎ: 最も厄介なのがさなぎの段階です。強い殻に覆われ、殺虫剤が効きにくく、振動や熱などの刺激がなければ数ヶ月間も潜伏し続けます。

特に、犬がよく寝転がる場所・カーペット・ソファの下・押し入れの奥などは、集中的な対策が必要です。

❷ 家庭でできるノミの物理的・化学的駆除法

ノミの卵や幼虫を物理的に除去し、化学的に駆除するための具体的な方法を紹介します。

  • 物理的な除去(掃除)を徹底する
    • 掃除機がけの強化: ノミの卵や幼虫を取り除くため、カーペット、ソファ、クッションなどを毎日徹底的に掃除機がけします。ノミのさなぎを孵化させるためにも、掃除機で振動を与えることが重要です。
    • ポイント: 掃除機をかけた後は、吸い取ったノミが再び飛び出さないよう、すぐに紙パックを密閉して捨てるか、中のゴミを熱湯(50℃以上)で処理してください。
    • 高温処理の活用: ノミは熱に弱いため、犬の寝具、布製のおもちゃ、クッションカバーなどは頻繁に洗濯し、乾燥機にかけるか、スチームクリーナーで高温処理を行うと効果的です。
  • 化学的な駆除(殺虫剤)を使用する
    • くん煙剤(バルサンなど)の使用: 家全体のノミを駆除するのに有効ですが、さなぎの状態のノミには効きにくいという弱点があります。
      • 活用のコツ: くん煙剤の使用後、さなぎを孵化させるために掃除機を念入りにかけ、再度くん煙剤を使用する(間隔は製品の指示に従う)と効果が高まります。
    • 残留噴霧型殺虫剤: カーペットや家具の裏側など、ノミが潜伏しやすい場所に噴霧しておくと、薬剤に接触した幼虫や成虫を駆除できます。

❸【再発防止】ノミが付きやすい場所・季節の予防対策

家の中をきれいにしたら、ノミの侵入と再発を防ぐ習慣をつけましょう。

  • 通年予防の徹底: 寒い時期でもノミのさなぎは生き残っています。また、暖房の効いた室内では一年中活動可能です。駆除薬や予防薬は、季節を問わず通年で投与することを徹底してください。
  • 玄関や庭の管理: ノミは屋外から持ち込まれることがほとんどです。犬が散歩から帰ってきたら、玄関でノミ取りコームをかけるなど、室内に入れる前のチェックを習慣化しましょう。庭やベランダの草むらをきれいに保つことも大切です。

ノミの駆除は、愛犬の治療と家の中の徹底的な掃除・殺虫を並行して行う「時間と手間のかかる作業」です。

もし、ご自身で対策を講じてもノミの再発が続く場合は、プロの専門業者への相談も視野に入れる必要があります。

ノミの再発を徹底的に防ぐ「正しい予防薬」の選び方と費用

ノミの駆除が一時的に成功しても、予防を怠ればすぐに再発してしまいます。愛犬をノミの苦痛から解放し、ご自宅の衛生を維持するために最も重要なのが「正しい予防薬による通年予防」の習慣化です。

ここでは、ノミの再発を徹底的に防ぐための予防薬の選び方と、気になる費用について解説します。

❶ 通年予防が必須な理由

「冬は寒いからノミはいないのでは?」と思われるかもしれませんが、ノミの予防は季節に関係なく一年中行うことが推奨されています。

  • 室内環境での活動: 現代の家屋は暖房が完備されており、一年中ノミが快適に成長・繁殖できる温度が保たれています。
  • さなぎの耐久性: ノミのさなぎは非常に耐久性が高く、低温でも長期間生き延び、環境が整った途端に一斉に孵化します。
  • 地球温暖化の影響: 近年の気候変動によりノミの活動期間が長期化し、冬でも野外でノミに遭遇するリスクが高まっています。

愛犬が少しでも外に出る機会がある、あるいは室内で飼育している場合でも、毎月、欠かさず予防薬を投与することが再発防止の鍵です。

❷ 予防薬の種類別比較(経口薬、スポットオン)

現在、動物病院で処方される予防薬には、大きく分けて「経口(食べる)タイプ」と「スポットオン(滴下)タイプ」の2種類があります。

スクロールできます
種類特徴メリットデメリット費用目安(月)
経口薬錠剤やチュアブル(おやつ)のように食べさせるタイプ。即効性が高い。投与後はシャンプーや水濡れの影響を受けない。薬が苦手な犬は投与が難しいことがある。¥1,500〜¥3,000
スポットオン首筋などの皮膚に垂らす液体タイプ。皮膚の脂質に成分が広がる。薬を嫌がる犬でも比較的投与しやすい。投与後数日間はシャンプーを控える必要がある。皮膚が弱い犬は刺激を感じる場合がある。¥1,500〜¥3,000

※費用は製品や動物病院によって異なります。

多くの処方薬は、ノミだけでなくマダニフィラリア(犬糸状虫症)、その他のお腹の寄生虫も同時に予防できるオールインワンタイプが主流です。

一度の投与で複数の寄生虫に対応できるため、愛犬の負担を減らすことができます。

❸ 愛犬のライフスタイルに合わせた予防薬の選択基準

予防薬には以下のようなものがあります。どの予防薬を選ぶかは、愛犬の性格や生活環境に合わせて獣医師と相談して決めるのが最善です。

  • 💊 投与のしやすさで選ぶ:
    • 薬を喜んで食べる犬には「経口薬」。
    • 薬を飲むのを嫌がる犬には「スポットオン」。
  • 💧 水濡れ・接触の多さで選ぶ:
    • 水遊びが好き、シャンプーの頻度が高い犬には、効果が安定している「経口薬」。
    • 小さなお子様や他のペットがいるご家庭で、薬を塗布した部位を触るリスクが少ない場合は「スポットオン」も検討可能。
  • 🦟 予防したい寄生虫で選ぶ:
    • 散歩中に草むらによく入る犬には、マダニへの効果が強い薬。
    • 蚊が多い地域であれば、フィラリア予防も兼ねた薬。

ノミの再発を防ぎ、愛犬を様々な寄生虫から守るためにも、自己判断せずに必ず獣医師の診断のもとで最適な予防薬を決定し、毎月正しく投与していきましょう。

この継続的なケアこそが、ノミから完全に解放される唯一の方法です。

【どうしてもノミが減らない場合】プロの害獣駆除業者に相談すべき理由

愛犬に処方薬を投与し、ご家庭で徹底的に掃除や殺虫対策を行っても、ノミの被害が一向に収まらない、またはすぐに再発してしまうというケースがあります。

これは、家庭の駆除対策では到達できないノミの「潜伏場所」が残っていることが原因です。このような場合は、プロの害獣駆除業者に相談することを強く推奨します。

❶ プロの駆除業者は「家庭のノミ」にどう対応するのか

一般の飼い主が行う駆除と、プロの業者が行う駆除には大きな違いがあります。

  • 薬剤と技術の専門性:
    • 業者は、市販品では手に入らない効果の高い業務用薬剤を使用します。特に、殺虫剤が効きにくいノミの「さなぎ」を孵化させるための技術や、残留効果の高い薬剤を選定するノウハウを持っています。
  • 潜伏場所の特定と徹底処理:
    • ノミが好む床下、壁の隙間、家具の裏、畳の下など、人間が日常的に立ち入らない場所まで徹底的に調査し、潜んでいる卵や幼虫、さなぎに直接アプローチします。
  • 広範囲・複数回の施工:
    • ノミは一度の駆除では根絶が難しいため、業者はノミのライフサイクルに合わせて、期間を空けて複数回の施工を提案することがあります。これにより、残った卵やさなぎが孵化したところを確実に駆除できます。

プロに依頼することで、「家の中にいる95%のノミ」を確実に駆除することが可能になります。

❷ こんな場合はプロに頼むのがおすすめ

以下のような状況にある飼い主様は、プロの駆除業者への相談を検討しましょう。

  • 対策を繰り返しても効果がない場合: 処方薬の投与、掃除機の徹底、くん煙剤の使用などを数週間続けても、ノミの再発が止まらない場合。
  • 多頭飼育の場合: 複数の犬や猫を飼育している場合、ノミが次々と他の動物に移り、駆除が非常に困難になります。
  • 賃貸物件などで徹底駆除が必要な場合: 退去時などにノミの痕跡を残したくない場合や、広範囲にわたってノミ被害が広がっている場合。
  • 衛生環境への不安が大きい場合: ノミが媒介するアレルギーや病気が心配で、一刻も早く生活環境をクリーンにしたいと願っている場合。

❸ プロの業者を選ぶ際のチェックポイント

ノミ駆除を業者に依頼する場合、大切なのは「信頼できる会社」を選ぶことです。

  • ノミ駆除の実績: ノミやダニなどの害虫駆除の実績が豊富かを確認しましょう。
  • 見積もりと料金体系の明確さ: 駆除範囲や回数を含めた見積もりが明確で、追加料金の有無についても事前に説明があるか確認してください。
  • アフターフォロー: 施工後の再発に対する保証や、アフターフォローのサービスがあるかを確認すると安心です。

ノミの完全駆除は、愛犬と家族の安心を取り戻すための大切なステップです。自力での解決が難しいと感じたら、専門的な知識と技術を持つプロの業者に相談しましょう。


害虫駆除のおすすめ業者に関しては「害虫駆除の優良業者おすすめ9選!料金相場と失敗しない選び方」の記事で紹介していますので、よろしければご確認ください。

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この記事を書いた人

さとるのアバター さとる 元駆除会社社員

普段はいくつかのWEBメディアで記事コンテンツを作っています。こちらでは害獣・害虫駆除について書いていきます。

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