ムカデは毒を持っているので、建物に侵入されて咬まれる事態は避けたいものです。
こちらでは、ムカデに咬まれた時の対処方法や駆除方法などのムカデ対策を紹介します。
ムカデの被害に遭っている方の参考になれば幸いです。

ムカデは、節足動物門に属する多足類であり、その外見から多くの人に強い不快感と恐怖を与える害虫です。
最大の脅威はその毒性で、特に大型のムカデに咬まれると激しい痛みや腫れ、しびれを引き起こし、重症化すれば発熱や頭痛を伴うこともあります。
この毒性ゆえに、小さなお子様やペットがいる家庭では特に警戒されます。ムカデは夜行性で、高温多湿な場所を好み、植木鉢の下、石の下、朽ち木の中などに潜伏します。
肉食性であり、ゴキブリやクモ、他の昆虫を捕食するため、家の中の他の害虫が多いと、それを餌にして侵入してくる性質を持っています。
ムカデはわずかな隙間からも侵入可能で、玄関や窓のサッシ、エアコンのドレンホースなど、屋外とつながる部分が主な侵入口となり、侵入経路の特定と遮断が対策の鍵となります。
【この記事で参考にした文献】
ムカデに咬まれた時の正しい応急処置
ムカデに咬まれた(刺された)際は、パニックにならず、落ち着いて以下の対応をしてください。特にムカデの毒は熱に弱いという性質があるため、「温める」ことが応急処置の重要なポイントになります。
- 傷口を軽く水で洗い流しながら、指でつまむようにして毒を絞り出します。
- 口で吸い出すのは、口内に傷があるとそこから毒が吸収される可能性があるため避けてください。
- ムカデの毒はタンパク質毒で構成されており、熱に弱いという特徴があります。
- 43℃~46℃程度の、やけどしない程度の熱いお湯に患部を10分~30分ほど浸す、または温かいシャワーを当てることで、毒の成分を不活性化させ、痛みを和らげる効果が期待できます。
- 温めて痛みが落ち着いた後、または熱湯がない場合は、すぐに患部を冷やします。冷やすことで炎症と腫れを抑えます。
- 抗ヒスタミン剤やステロイド成分を含む虫刺され用の軟膏やクリームを塗布します。
軽度な痛みや腫れで治まることもありますが、以下の症状がある場合は、すぐに皮膚科やアレルギー科などを受診してください。
- 激しい痛みや腫れが引かない場合。
- 広範囲にわたる腫れや、赤みが強くなってきた場合。
- 全身症状(発熱、頭痛、吐き気、めまい、気分不良など)が現れた場合。
- 過去にハチなどに刺されてアレルギー反応を起こしたことがある方(アナフィラキシーショックのリスクがあるため)。
緊急時の対応として、これらの知識を覚えておくと安心ですが、近くに医療機関があればすぐに相談することをおすすめします。
ムカデが家に侵入する経路を徹底的に特定し遮断する!
ムカデ対策で、大切なことは侵入経路を物理的に塞ぐことです。ムカデは数ミリのわずかな隙間さえあれば、平気で家の中に侵入してきます。
ムカデを見ないようにするためには、このようなわずかな隙間の侵入経路を特定し、ひとつ残らずシャットアウトします。
1. ムカデの主要な侵入経路トップ5
まずは被害場所の以下の箇所をチェックしてみてください。ムカデは、湿気が多く暗い場所、そして外から土やコンクリートに触れられる場所から侵入を試みます。
| チェック項目 | 主な侵入場所 | 対策の難易度 |
|---|---|---|
| 玄関・勝手口 | ドア枠と地面の隙間、ポスト口の隙間 | 低(隙間テープで対応可能) |
| 窓のサッシ・レール | 網戸と窓枠の隙間、雨戸の戸袋 | 低~中 |
| エアコンのドレンホース | 室外機に繋がる排水ホースの出口 | 低(専用キャップで対応可能) |
| 床下の換気口 | 外壁にある通気口の網目 | 中(目の細かさの確認が必要) |
| 水回りの排水口 | 浴室、洗面所、洗濯機の排水トラップ(稀だが要注意) | 中(トラップの機能確認が重要) |
2. 経路別!今すぐできる物理的な遮断方法
侵入経路が特定できたら、いよいよ具体的な物理的遮断に取り掛かります。プロに頼む前に、自力で対策をしましょう。
❶ エアコンのドレンホースには侵入防止キャップ
ムカデが最も好むのが、湿気があり外と繋がっているエアコンのドレンホースです。ここを塞ぐだけで、侵入リスクは大幅に減少します。
- 対策グッズ: 高密度のモヘア(ブラシ状)やゴム製の隙間テープを隙間に合わせて貼り付けます。特に玄関ドアの下部は、地面との隙間を完全に塞ぐタイプのテープが有効です。
- 実践のコツ: 一度テープを貼る前に、必ずその箇所をきれいに掃除し、油分やホコリを落としてください。
❷ 玄関ドア・窓のサッシは「隙間テープ」で徹底封鎖
ドアの下や窓のサッシのミリ程度の隙間でもムカデにとっては立派な入り口です。
- 対策グッズ: 高密度のモヘア(ブラシ状)やゴム製の隙間テープを隙間に合わせて貼り付けます。特に玄関ドアの下部は、地面との隙間を完全に塞ぐタイプのテープが有効です。
- 実践のコツ: 一度テープを貼る前に、必ずその箇所をきれいに掃除し、油分やホコリを落として使用してください。
❸ 床下の換気口は「目の細かいネット」で防御
床下の換気口は湿気の溜まりやすく、ムカデの絶好の隠れ家であり侵入経路です。
- 対策: 既存の網(もしあれば)の上から、目の細かいステンレス製の金網や防虫ネットを被せて固定します。
- 注意点: 通気性は確保する必要があるため、目が細かすぎてもいけません。ムカデの体長が入らない程度の細かさ(目安として3mm以下)を選びましょう。
3. 築年数が古い家特有の「盲点」となる侵入場所
特に築年数が経過した一軒家や低層階の場合は、一般的な侵入経路以外からも入ってくることがあります。ムカデはコンクリートのわずかなひび割れや、木材の継ぎ目を利用して侵入します。
- 家の基礎のひび割れ: 基礎部分にひび割れがある場合は、コーキング剤(シーリング剤)を使って徹底的に埋めてください。
- 戸袋(雨戸の収納部): 普段開け閉めしない戸袋の内部は、ムカデが好む暗く湿った空間です。戸袋の隙間もコーキング剤や防虫ブラシで塞ぎましょう。
- 壁と配管の接合部: 外壁から水道管やガス管が引き込まれている部分の隙間も、コーキング剤で隙間なく塞ぎましょう。
自力で駆除できる即効性の高いムカデ対策グッズと安全な使い方
こちらでは、お子様やペットがいるご家庭でも安全性を考慮して使える駆除グッズの選び方と使い方を解説します。
1. ムカデ駆除剤の種類と効果を徹底比較
ムカデ対策グッズは大きく分けて「待ち伏せ型」「即効駆除型」「バリア型」の3種類があり、これらを組み合わせて使うのが最も効果的です。
| 種類 | 特徴と効果 | 向いている状況 |
|---|---|---|
| 毒餌剤(ベイト剤) | ムカデが好む餌に毒を混ぜたもの。巣に持ち帰らせて、隠れたムカデもまとめて駆除できる。効果の持続性が高い。 | 家の周囲やベランダに継続的に設置し、予防と根絶を目指したい場合。 |
| スプレー(即効型) | 凍結タイプ、または強力な殺虫成分を含んだスプレー。目の前のムカデを瞬時に駆除できる。 | 室内でムカデに遭遇したなど、緊急時の対応。 |
| 粉剤/粒剤(バリア型) | 殺虫成分を含む粉や粒を家の外周に撒き、「家に入らせない壁」を作る。 | 侵入防止効果の強化、家の周りの環境対策。 |
2. 設置場所の鉄則:ムカデを確実に仕留めるポイント
ただグッズを置くだけでは、十分な効果は得られません。ムカデの習性を理解し効果的な場所に設置しましょう。
- 水回り付近と湿度の高い場所: ムカデは乾燥を嫌い、ゴキブリなどの餌を求めて水場に集まります。洗面所や浴室の近く、室外機の裏、植木鉢の下など、湿気がこもりやすい場所に毒餌剤や粉剤を重点的に設置します。
- 家の外周(バリアライン): ムカデは基本的に地面や壁を這って移動します。玄関や窓の下、家の土台、ベランダの境目など、侵入経路になりそうな場所の外側に粉剤や粒剤を線状に撒いてバリアを作ります。
- 夜間に活動する場所に注目: ムカデは夜行性です。日中は物陰に隠れていますが、夜になると餌を探して活動します。特に夜にムカデを見た場所やその周辺を重点的に対策しましょう。
3. ムカデに遭遇した時の安全・確実な対処法
もしも家の中でムカデに遭遇してしまった場合、パニックにならずに駆除することが重要です。
- 絶対に素手で触らない: 毒を持つムカデを素手で触ると、反撃されて咬まれる危険性があります。
- 即効性の高いスプレーで動きを止める: 殺虫成分入りのスプレーか、凍結タイプのスプレーを数秒間吹き付け、まずは動きを完全に止めます。
- 熱湯で確実に駆除: ムカデは熱に非常に弱いです。動きが止まったムカデを80度以上の熱湯に浸すことで、確実に息の根を止められます。最も推奨される方法です。
- 後処理も丁寧に: 駆除したムカデは、そのままゴミ箱に捨てるのではなく、熱湯処理を終えてからビニール袋に入れて密封し、処分してください。
ムカデを寄せ付けない長期的な予防と環境づくり
ムカデは、一時的に駆除しても、ムカデにとって快適な環境が残っていれば必ずまた戻ってきます。こちらでは、ムカデを寄せつけいない環境の作り方を紹介します。
1. 庭・ベランダの「ムカデ誘引スポット」を解消する
ムカデは「湿気」「暗さ」「隠れ場所」を求めて活動します。この3つの要素を取り除くことが、最も効果的な長期予防策です。
- 🪨 落ち葉・石・廃材の撤去: 庭や家の周囲に放置された落ち葉の堆積、不要な植木鉢、石、レンガ、廃材などは、ムカデの絶好の隠れ家です。これらを整理し地面から離して保管するか撤去しましょう。
- 🌱 植栽の剪定と整理: 建物の基礎部分や壁に接している植物(ツタや低木)は、湿気を呼び込みムカデの通路になります。これらを定期的に剪定し、家と植栽の間に十分な空間を確保してください。
- 💦 湿気の排出を徹底: 雨どいが詰まっていたり、水はけが悪い場所はムカデが好みます。排水路を掃除し、特に床下や換気口周辺の風通しを改善しましょう。
2. ムカデが嫌う「忌避効果」のある天然成分
殺虫成分の強い薬剤を避けたい小さなお子様がいるご家庭は、ムカデが嫌がる天然成分を家の周囲に活用するのも有効な手段です。
- 🌱 ヒノキ(木酢液・竹酢液): 特有の強い匂いをムカデは嫌います。これらを水で薄めて、家の基礎や庭の土に定期的に散布することで、忌避効果が期待できます。
- 🌿 ハッカ油(ペパーミントオイル): 強い揮発性の匂いがムカデの感覚を狂わせます。水で薄めたハッカ油をスプレーに入れ、玄関や窓のサッシなど、侵入経路の近くに吹き付けておきましょう。
3. 湿気と餌対策:ムカデの住みやすい環境をなくす
ムカデは肉食で、ゴキブリ、クモ、ミミズなどを捕食します。つまり、ムカデの「餌」となる害虫を減らすことが、ムカデ対策に直結します。
- 餌となる害虫を駆除する: 庭や床下のゴキブリやダンゴムシを駆除することで、ムカデがその場所に定着する理由をなくします。ムカデ対策と並行して、他の害虫対策も行うと相乗効果があります。
- 家の中の湿気を徹底排除: 室内に入ってきても、乾燥していればムカデは長く生きられません。特に水回り(浴室、洗面所)は換気を徹底し、除湿器を活用して湿度を下げるように心がけてください。
これらの環境づくりは時間と手間がかかりますが、長期的にムカデの被害から解放され、「もうムカデの恐怖に怯えない生活」を取り戻します。
危険と判断したら!プロに依頼すべき状況と選び方
自力でのムカデ駆除どれだけしてもムカデに遭遇する場合は、建物の構造や環境に問題が潜んでいる可能性があります。
このような場合にはプロの力を借りて一度完全に解決してしまうのがおすすめです。
1. 自力対策の限界:プロの駆除が必要な3つのサイン
こちらのような場合は、ムカデの発生源が床下や壁の内部など、素人では対処不可能な場所にある可能性が高いです。すぐにプロへの相談を検討しましょう。
| サイン | 状況と潜むリスク |
|---|---|
| ① ムカデの「数」が減らない | 毒餌剤を設置し、侵入経路を塞いでも、毎日のようにムカデが出現する場合。すでに建物の内部で大量に繁殖している、または外から来る数が対策を上回っている可能性があります。 |
| ② 侵入経路が特定できない | 玄関や窓からの侵入対策を完璧に行っても、どこからともなくムカデが出現する場合。床下や壁の構造、基礎の深部のひび割れなど、専門的な知識と道具がなければ分からない経路から侵入しています。 |
| ③ 湿気や他の害虫も同時に発生 | ムカデだけでなく、ゴキブリやクモ、シロアリなど、複数の害虫被害が同時に発生している場合。家の構造全体の湿気・腐食問題が進行しており、総合的な環境改善が必要です。 |
2. ムカデ駆除業者が行う具体的な作業内容
駆除業者に依頼すると、どのような対策をしてくれるのでしょうか。こちらでは駆除業者の仕事を見て見てみましょう。
- 徹底した調査と診断: まずは目視や専用カメラを使い、床下や屋根裏など、普段見えない場所を含めたすべての侵入経路と巣の場所を特定します。
- 専門薬剤による駆除: 市販薬では対応できない、効果が高く持続性の長い業務用薬剤を、ムカデの巣や通り道、家の基礎全体に散布します。
- 物理的な侵入経路の閉鎖(コーキング): 特定した微細なひび割れや配管の隙間を、耐候性・耐久性の高いコーキング剤などで完全に塞ぎ、物理的に再侵入を不可能にします。
- 再発予防の環境改善: 必要に応じて床下の換気対策や湿気対策(防湿シートの敷設など)を提案・実施し、ムカデが棲みにくい環境を根本から作ります。
3. 失敗しない駆除業者の選び方
いざプロに依頼する際、「どの会社に頼めばいいか分からない」と悩むのは当然です。以下の3点を必ず確認して、信頼できる業者を選びましょう。
| 選び方 | やりかた |
|---|---|
| ① 見積もりの内訳が明確であるか | 駆除作業一式ではなく、「調査費用」「薬剤費用」「侵入経路封鎖費用」など、何にいくらかかるのかが詳細に記載されているか確認しましょう。 無料点検・無料見積もりを謳っていても、その後の追加費用が発生しないかどうかも確認が必要です。 |
| ② 「保証期間」が設けられているか | 駆除後にムカデが再発した場合に、無料で再施工してくれる保証制度があるかを確認しましょう。保証期間の長さは、業者の自信と技術力の裏返しとも言えます。最低でも1年間の保証がある業者を選ぶと安心です。 |
| ③ 過去の実績と地域の評判はどうか | 「ムカデ駆除」の実績が豊富で、特にご自身の住んでいる地域(一軒家、低層階など)での実績が多いかを確認しましょう。地域特有のムカデの習性や侵入経路を熟知している可能性が高いです。 インターネット上の口コミや評判も、業者選びの重要な判断材料になります。 |
おすすめの害虫駆除業者3選
害虫駆除のおすすめ業者に関しては「害虫駆除の優良業者おすすめ9選!料金相場と失敗しない選び方」の記事で紹介していますので、よろしければご確認ください。

ムカデ駆除に関するまとめ
どこからともなく現れるムカデですが、毒を持っているのでお子様やペットのいらっしゃるお家だと危険です。
そのため、毒餌を撒いたり侵入口を塞いだりすることでムカデを寄せ付けないことが可能なのですが、自力で全てを綺麗に駆除するのは本当に難しいものです。
綺麗に駆除してしまいたい場合にはプロに依頼することをおすすめします。



